八条学園騒動記
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第五百四十八話 姉妹の名前その三
「当時怖かった病気はね」
「かなり克服されているわね」
「そうよね」
「風邪や肺炎も」
肺炎にしても多くの命を奪ってきている。
「かなりましになったし」
「治療することが出来て」
「だからね」
それでというのだ。
「人が急に死ぬこともね」
「かなり減ったわよね」
「流行り病で死ぬとか」
そうしたことはというのだ。
「まずなくなったでしょ」
「そうよね」
「子供だって」
ベスは妹にさらに話した。
「急に死ぬとか」
「なくなったわね」
「本当に昔子供ってしゃぼん玉みたいにね」
「すぐに死んだのね」
「そう、しゃぼん玉はすぐに消えるけれど」
それと同じ様にというのだ。
「子供もね」
「すぐに死んで」
「兄弟姉妹全員大人になるとか」
何人もいてというのだ。
「もうね」
「そうそうなかったのね」
「そうした時代だったのよね」
ベスは姉達に言われてそのことを思い出して妹に話した。
「言われてみれば」
「シビアな時代だったってことね」
「今よりね、今の私達は病気もそうで」
「戦争もよね」
「ないから」
少なくとも連合の中ではだ、災害や海賊やテロリストの危険はあってもこちらの心配は連合の中では存在しない。
「お父さんも生きてるでしょ」
「実家でね」
「というかお父さん戦争に行ってないわよ」
ジョーが妹達にこのことを話した。
「軍隊に入ったこともないし」
「そうよね」
「名前は同じでも」
「私達はそうでもね」
それでもというのだ。
「お父さんの名前も違うしね」
「もっと言えばアメリカ人でもないわよ」
メグは笑ってこのことを話した。
「フェニキア人よ」
「そうよね」
「ルーツにあるかも知れないけれど」
アメリカ人の血が入っている可能性はあるというのだ。
「それでもでしょ」
「私達そもそもね」
「アメリカ人でもないわよ」
「若草物語はアメリカが舞台でも」
「それでもね」
「そうよね」
「というかね」
エイミーはここでこんなことを言った。
「ひいお祖父ちゃんが若草物語好きだからってね」
「私達の名前をそうしたのは」
ベスも応えて言う。
「もう趣味よね」
「ひいお祖父ちゃんのね」
「そうよね」
「それでもね」
「私達結構気に入ってるわよね、自分達の名前」
「ええ、それはね」
エイミーは三姉のその言葉に頷いた。
「嫌いとどころかね」
「気に入ってるわよね」
「覚えやすいし」
それにとだ。エイミーはベスにさらに話した。
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