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ヘタリア大帝国

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TURN26 親衛隊その九

「索敵はいいとして攻撃力がね」
「ビームは艦艇が大きい方が威力が強くなる」
「だから駆逐艦だとね。攻撃力が弱くなるんだよね」
「そのことを考えてだ。駆逐艦は鉄鋼弾の方がいい」
 それを装備しているものの方がだというのだ。
「しかも鉄鋼弾を装備している駆逐艦の方が索敵能力も速度も上だ」
「ビームのやつよりもね」
「コストは高くつくが駆逐艦はその方がいいな」
「あとですが」
 小澤はまた話す。
「バリア艦というものは」
「それか」
「亀のバリアが便利なので」
 艦隊全体をビームから守る。それ故だった。
「開発をお願いしたいですが」
「わかっている。ガメリカ軍のビームの威力は強い」
 それもかなりだ。ガメリカの兵器の性能はやはり高いのだ。
 平賀はそのことも知っているからだ。バリア艦についても言及した。
「それに対抗する為にな」
「開発をお願いします」
「とにかく勝てる兵器を開発していく」
 平賀は久重の口を通じて提督達にこのことを断言した。
「任せてくれ」
「ああ、じゃあ試作潜水艦楽しみにしてるからよ」
「言っておくが命懸けになる」
「わかってるぜ。俺は何があっても死なないからな」
 田中は強い顔で平賀に答える。日本軍の兵器の開発と製造も進んでいた。  
 そして平賀はだ。三人の提督達にこんなことも話したのだった。
「ただ。世界規模での戦いになると」
「んっ、何だい?」
「まだ何か」
「それぞれの気候に合わせた兵器も必要になるな」
 こんなことをだ。南雲と小澤に話したのだ。無論田中にもだ。
「ソビエトの極寒の星域やアラビア、北アフリカの熱砂の中でもな」
「日本は穏やかだからね」
 気候的にはだとだ。南雲が言った。
「富嶽みたいなのが来ても」
「富嶽は富嶽で脅威だが気候も厄介な存在だ」
 平賀はそれぞれの星域の気候も見ているのだった。
「寒さや砂のことも考えておこう」
「何から何まで悪いね」
「何度も言うが勝てる兵器を開発していく」 
 平賀はここでも久重の口から話した。
「その中にはそうしたものもあるのだ」
「そういえばそんなのは考えたことがなかったな」
 田中も今気付いたことだった。気候のことについて。
「何か色々とあるもんだな」
「そういうことも知っておくといい」
 平賀はその田中に述べる。
「勉強のうちだ」
「と、津波様が申しています」
 久重はここで自分の言葉も言った。
「ちなみに私は寒いのよりも暖かい方が好きです」
「コタツは」
「勿論大好きですよ」
 小澤にだ。久重は即答で答えた。
「私あそこいいるだけで幸せになれます」
「やっぱり。じゃあ猫じゃらしは」
「前で動いていると前足を出さずにいられません」
「喉を触られるのは」
「あれは魔術ですよね。気持ちよ過ぎですよ」
「猫そのもの」
「だから猫なんですよ」
 自分で言う久重だった。
「猫はそういったものやことが大好きなんですよ」
「本当に猫そのものなんだな」
 田中も頷いていた。
「喋っててもな」
「そういうことです。あとアストロ猫もですね」
 彼にとっては同種である。紛れもなく。
「そういうのは大好きですよ」
「雪は駄目かい?」
「それは犬です」
 コーギーだというのだ。
「寒いことは大嫌いですから」
「私も嫌いだ」
 久重は不意に平賀の言葉の代弁に入った。
「冷えるからな」
「と、津波様が仰っています」
 平賀の言葉の代弁は忘れない。
「そういうことで」
「兵器も変わってくんだな」
 田中はここでも考える顔になっていた。
「いや、俺も勉強しないとな」
「勉強することだ。何事に対してもな」
 また平賀が久重の口から田中に言った。
「全てはそこからはじまるからな」
「今までぶっ潰すことだけ考えていたけれどな」
「若さに任せて走るのもいいが問題はそこから先だ」
「あいつを越えるのはか」
「ただ長官の椅子に座りたいだけではあるまい」
「当たり前だろ。人間としても提督としてもな」
 田中は何気に東郷の器も認める発言も行った。
「あいつは乗り越えてやるさ、絶対にな」
「なら学ぶことだ」
「勉強しないと駄目か、本当に」
「そういうことだ。応援はする」
 平賀は冷静に田中に述べる。そうした話をしてだ。
 彼は学びだしていた。しかしそれはまだ一歩を踏み出しただけだった。全てはそこからだった。そして学ぶことには失敗もあるということを。彼は今はまだ知らなかった。


TURN26   完


                         2012・5・17 
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