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八条学園騒動記

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第五百四十五話 日本についてその一

                日本について
 朴春香はこの時家で兄の洪童と共に夕食のチゲ鍋を食べていた、鍋の中には白菜やモヤシ等様々や野菜や茸や豚肉、トッポギ等が入っている。
 そのトッポギ、韓国風の餅を自分の碗に入れつつ春香は兄に話した。
「今日日本人のクラスメイトに言われたの」
「何てだ?」
「チゲ鍋って美味しいのかって」
「その娘知らないんだな、この鍋のこと」
「焼き肉とかビビンバは好きらしいけれど」
「それでもか」
「チゲ鍋は食べたことがないらしくて」
 それでというのだ。
「私に聞いてきたの」
「美味いに決まってるだろ」
 洪童はすぐにこう言った。
「それは」
「私もそう答えたわ」
「美味いからな」
 だからだとだ、洪童は鍋の中の豚肉を食べつつさらに話した。
「俺達もこうしてな」
「今食べてるしね」
「特に寒い時はな」
「これが一番よね」
「一気にあったまるからな」
「そうそう」
「お酒にも合うしな」
 言いつつマッコリも飲む。
「こうしてな」
「兄さんそれマッコリよね」
「ああ、飲むか?」
「ビール飲んでるから」
 見れば春香が飲んでいるのはそちらだった。
「だからいいわ」
「ビールか」
「最近こっちにはまってるから」
「ビールは身体冷やすだろ」
 洪童は今あったまるという話からこのことを指摘した。
「それでもいいのかよ」
「お酒はね、それにこれ二日酔いにも効くしね」
「もうお酒も一発でな」
「抜けるのよね」
「身体が熱くなってな」
「そうそう、というかチゲ鍋って」 
 春香はさらに言った。
「韓国料理でメジャーよね」
「焼き肉の次にメジャーじゃないのか」
「私もそう思うけれど」
「そのクラスメイトは食ったことがないんだな」
「焼き肉とかビビンバとか冷麺は食べても」
「それは残念だな」
「ソルロンタンは大好きらしいけれど」
 こちらの料理もというのだ。
「それでもね」
「ソルロンタン食ったことあってか」
「チゲ鍋はね、あと韓国の宮廷料理」
「ああ、あの辛くないな」
 この料理のことは洪童も知っていた、実は韓国の宮廷料理は大蒜や唐辛子は然程使わないのだ。普通の韓国料理と違い。
「あれもか」
「食べたことあるらしいけれど」
「変わってるな」
 洪童はトッポギを食べつつ述べた。
「それはまた」
「お話聞いたら結構韓国料理食べてるけれど」
「チゲ鍋はか」
「食べたことがないらしくて」
「お前に味を聞いてきたんだな」
「そうなのよ」
「本当に変わってるな、けれどな」 
 それならとだ、洪童は妹に話した。
「それならお前がな」
「チゲ鍋の味を知ってもらうのね」
「そうしたらいいだろ、そんな特別な料理でもないしな」
「そうよね」
「学校の食堂にもあるしな」
「韓国料理の食堂にもね」
「だからな」
「ちょっと紹介してみるわね、しかし今何か」
 春香はこんなことも言った。
「熱くなってきたわ」
「そりゃチゲ鍋食ってるからな」
 だからだとだ、洪童はマッコリを飲みながら答えた。 
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