八条学園騒動記
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第五百四十四話 ワインに酔いその九
「別にエウロパのものはね」
「奪わなかったわね」
「それで金品とかは」
「絶対に奪わなかったわよね」
「個人の財産とかは」
そうしたものには実際に手はつけなかった、略奪は連合軍の軍律で禁じられているからだ。そんなことをすれば軍事裁判ものだった。
「そうしたし」
「戦争はしていても」
「一般市民を攻撃するとか」
「そんなこともよね」
「していないよ」
とにかく八条がそれを禁じていたのだ。
「だからね」
「バイキングとはね」
「全然違うよ、もうバイキングなんか」
「奪って殺す」
「もう徹底的にね」
それこそというのだ。
「暴虐の限りを尽くす」
「野蛮人よね」
「そんな野蛮人に例えるとか」
「エウロパの連中も酷いわね」
「そう言う自分達こそね」
「十字軍とかね」
連合では彼等のことは実によく言われている。
「もう最低最悪の連中で」
「破壊と殺戮の限りだったよ」
「そうよね」
「略奪も酷かったし」
「異教徒は皆殺せとか」
「エウロパの連中らしくね」
それこそとだ、ポルフィは妹に話した。
「挙句同じキリスト教徒でも殺したし」
「もう滅茶苦茶ね」
「それで大航海時代とかでも」
「帝国主義時代でもね」
「破壊、殺戮、略奪」
「連合より遥かに野蛮じゃない」
「連合は生み出す国だよ」
自分達をこう呼んでいるのだ、そしてエウロパは奪う者達だと呼ぶのだ。
「だから十字軍みたいなこともね」
「しないわよね」
「そんな話ないから」
「確かにまとまりはないけれど」
「色々な宗教や文化、文明がね」
「一緒にいる国だけん」
「そうだよ、キリスト教徒以外皆殺しとかバイキングみたいなことは」
バイキングはキリスト教徒ではなかった、彼等の信仰は北欧の神々に対して向けられるものであったのだ。
「しないから」
「十字軍とか大航海時代とか」
「帝国主義時代とかね」
「連中なんて」
「遥かに酷いから」
連合軍よりもというのだ。
「連合軍略奪しないし」
「一般市民に危害を加えないし」
「捕虜もね」
「大事に扱ってたのよね」
「そんなのだよ」
「文明人よね」
「文明人も文明人で」
それこそとだ、ポルフィはミーナに話した。
「紳士淑女の集まりだよ」
「そうよね」
「だから」
それこそというのだ。
「もうね」
「エウロパの連中と比べたら」
「遥かに文明的で」
「むしろ連中の方がね」
「野蛮だよ、大体連中は」
ポルフィはこんなことも話した。
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