八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五十三話 隅田川その十二
「屑の相手は屑だよ」
「それあるわね」
「まあ間違ってDV男と付き合ってしまった人もいるけれど」
これは性別が逆の場合もあるらしい。
「別れたりするから」
「屑から離れるのね」
「屑と付き合うのは屑にしても」
「相手はいるのね」
「だから」
「ダオが付き合ってもなのね」
「本当に不思議じゃないから」
そう思っている、今は。
「驚いていないよ」
「そうなのね」
「しかも何か」
「何か?」
「ここんところずっとこうしたお話聞いてるから」
「お話って」
「ダオさんみたいなね」
誰に言われてるかは言わなかった、けれどダオさんは思わせぶりな笑みになって僕にこんなことを言ってきた。
「ひょっとして八条荘の皆?」
「あれっ、ダオさんも」
「聞いてるわよ、最近皆ね」
八条荘の皆はというのだ。
「交際ラッシュよね」
「そうなんだよね」
「それでダオもね」
「交際がスタートしたんだね」
「そう、だから」
僕に笑顔のまま話してくれた。
「それねって思ったけれど」
「その通りだったよ」
「そうよね、まあこれも縁ね」
「人と人の」
「神様のね、あっベトナムって共産主義だけれど」
「宗教あるよね」
「ホーおじさん自身がお題目って言ってたから」
今のベトナムを建国したホー=チ=ミンその人がだ。
「支援を得やすくて看板にしやすいから」
「共産主義になったんだね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「共産主義は宗教を否定しているけれど」
「その共産主義をだね」
「ベトナム人お題目って考えてるから」
「宗教もだね」
「信じている人は信じていて」
そうしてというのだ。
「ダオもね」
「信じているんだね」
「正確に言えば仏様よ」
こちらだというのだ。
「仏教徒なのよ、ダオ」
「そんなお話も前してくれたかな」
「そうでしょ、小乗よ」
こちらの仏教だというのだ。
「こっちを信じてるの」
「大乗じゃないね」
「東南アジアだとこっちでしょ」
この地域での仏教はというのだ。
「タイでもね」
「そうだったね」
「それでダオもね」
「小乗仏教なんだ」
「こちらなのよ」
「それで仏様が」
「導いてくれたのよ」
今度はこう話してくれた。
「有り難いことに」
「そうなんだね」
「それで今お付き合いはじめて」
そしてとだ、僕にさらに話してくれた。
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