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NARUTO 桃風伝小話集

作者:人魚
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その32

 
前書き
卒業試験だってばよ間近。
アカデミー卒業前。
危険物持ち込んだのは勿論某仙人さんです。
溜め息の原因は、月一視察の時の、おじいちゃんからのナルトに対する牽制と探りです。
後日、月一視察でナルトの家を訪ねたおじいちゃんは、ナルトに、ナルトと同年代の男の子が持って当たり前の男性生理や悩みについての詳細な知識と情報と、実感を伴った受け答えをする為の技術を求められ、非常に頭を抱える事になりました。 

 
実は今日、サスケのお家に泊めて貰った時に気が付きました。

というか、泊めて貰ったお礼に、サスケのお家の家事をしてたら、見つけてしまいました。
入手経路がちょっと疑問ですけれど、サスケもやっぱり男の子なんですね。

見つけてしまった物に凄く動揺して慌ててしまって、息子の部屋で発見したお母さんの如く、目立つ場所に設置するべきか迷ったり、全部になかった事にしてみたり、サスケの成長を祝うべきなのか悩んだり、現在進行形でかなり頭を悩ませている。
だって、サスケって、男同士の会話をするような仲良しって、あまりいないっぽいですし!

ミコトさん達がいた頃仲良くしてた子達とは、大分疎遠になってるみたいだし、アカデミー卒業間際になってからは、シカマル君とはちょくちょく二人で話してたみたいですけど、シカマル君もあんまりそういう事に興味がありそうなタイプじゃない。
シカマル君と仲の良いチョウジ君も、全然そういうタイプじゃないんだもの。
彼は明らかに色気より食い気です。

だから、どこから手に入れてきたのかさっぱり分からない。
自分で買うとは思えないし、拾うというのはもっとあり得ない。

見つけた物はサスケの家で、異物感を遺憾なく発揮してくれていました。
むしろ違和感ばりばりでした。

少なくとも、サスケにこんなものを渡すようなサスケの知り合いに、私は心当たりがありません。

百二十歩くらい譲って可能性がありそうなのはキバ君辺りなんだけど、流石にキバ君からサスケが直接受け取るとは思えないし、キバ君にもそんな度胸は無いだろうし、それに、悪戯目的だろうと、キバ君がサスケに見つからずに、サスケのお家のこの部屋に、これを仕込めるとも思えないし…。

………一体、何故これはこんな所にあるのだろう。

まさか、実はこれは、うちは一族に伝わる忍としての教材の一つとか?

いやいやいやいや。
思い付いておいてなんだけど、いくらなんでもそれは無い。
あり得ない。
あの堅物ちっくな人達揃いのうちはの人達に、そんなファンキーでお茶目な発想は無い。

無い、と思う。

あっても、絶対人に見つからないよう全勢力を持って隠しそう。
こんな直ぐにバレるような所に置かないと思う!
たとえこの部屋に住んでるのがサスケ一人だったとしても!!!!

……隠す、よね?
そんなようなこと、昔、小耳に挟んだ事もあるし。

それに多分、サスケ含むうちはの人達は、系統としては、むっつり、とか。
朴念仁、とか。
奥手で純情、とか。
そういう方向性なんじゃ…。

あるいは、拗らせきって、回転しまくりの、一周回った俺様系の肉食男子……とか?

…………そういう人達に、こういう物は必要か?

疑問を持っておいてなんだけど、多分、必要無いんじゃないかな。
……………女の私には、良く、分かんないけど。

でも、多分、印象とか、イメージとかで語るなら。

私の知ってる大半のうちはの人達は、むしろ、こういう物は敬遠すると思う。
前者であれば刺激強すぎて。
後者であれば低俗すぎて。

前者の人なら、興味があるのを隠そうとして、真っ赤になって、怒涛のように否定と嫌悪を捲し立てて拒絶してくる。
後者の人であれば、興味を持たずに淡々と眺めてスルーする。
多分、きっと。

だって、うちはの集落で見知った人達や、警務隊に所属してたうちはの青年陣は皆そんな感じだった。
無骨?というか、潔癖というか。
なんというか、こう、擦れてなくて、真っ直ぐな感じ?
の、人と。

むしろ、どうしてそんなに傲慢なのって感じの人とに、ぱっきり二つに別れてた。

基本的に、全員ものすごく清廉で生真面目な人達が多かったし。
生真面目過ぎて思い込み激しくて、こっちを見下す人も多かったけど。

でも。

でも、なんだ。

なんというか、こう、私には私の感じている違いを上手く説明できないけれど、何となく、これは違う、ような気がする。
なんか、違う。
それだけは強く感じる。
多分、これ、絶対にサスケの物じゃない!!

…と、思う。
自信はないけど。

もうちょっと、えっと、そう!
芸術性とか!

専門性とかが高そうな感じの物だったら分からなくもないけど、私がサスケのお部屋で見つけちゃったこれは、絶対うちはのカラーには染まらない!!

…筈。

だって、これ、あからさまにいかがわしさ満載だし!
一般的で大衆向け過ぎるし!
表紙の、金髪巻き毛ロングの化粧の濃い巨乳のお姉さんが、ほぼ全裸で女豹のポーズでウィンクしながら投げキッスとか、大っぴらに桃色空気を醸し出し過ぎてて、やっぱり、なんか、『うちは』とサスケの好みに、これはそぐわなすぎる!!!!

…と、思う。
自信はないけど。

でも、根拠はある!!
だって、こないだ木の葉の繁華街でサスケに声かけて来た、肉食系のセックスアピールに富んだ格好したお姉さんを、サスケ、品がないって言って嫌厭してたし!

私から見て、結構色っぽくて綺麗な人だったから、美人な事指摘したら、幾ら顔が良くてもあれは無いとか言って、すっごい嫌そうな顔してたし。

この表紙のお姉さん、あの人と顔も髪の毛の色も全く似てないけど、でも、サスケが嫌がってたあの女の人の持ってた退廃的で気怠げな雰囲気は良く似てるし…。

普段そういう事はあんまり突っ込んで聞いたりしないようにしてたけど、その時はついつい興味が湧いて、ならばサスケはどんな人なら良いのか聞いてみたら、暫く考え込んだ挙げ句、そんな事に割く時間は無いけど、強いて言えば、料理が上手い人は好感が持てるとかって言ってたから、多分、きっと、サスケは、ミコトさんみたいな落ち着いた上品な雰囲気の家庭的な人の方が良いんだと思うし。
所謂、清楚系ってやつ???

それを元に考えると、この金髪のお姉さんは、やっぱり、ちょっと違うと思う。
あからさまに清楚ではないし。

でも。
けど。

私は男じゃないから、男性心理は良く分からない。

サスケは好きじゃなさそうだったけど、甘いものは別腹的な感覚に近いような感じで、男の人って、好きじゃなさそうなこういう女の人の事も、こんな風に大事に手元に置いておけるような事もあるんだろうか????

……取り敢えず、それはさておき。

こういう物を好きそうな知り合いで、こういう事をしそうな人という点で考えるなら、可能性的に無くはない相手が浮かんでいるんですが、その人は多分、サスケを知ってはいても、サスケと面識は無い筈なんですよね。

面識があるなら、サスケにこういう悪戯やお節介を仕掛けてサスケをからかいそうだし、サスケもこんな所にあるこれに気付けなかったとしたら、こうしてサスケが見付けて処分する前に、私が見付けてしまうという事もあるかもしれない。

可能性だけで論じるならば?

でも。

うーーーーーーん。
本当に、謎です。

というか、サスケ、私の知らない所で、変な人と付き合ってる訳じゃないですよね?
時折、非常に疲労困憊で、屍じみた雰囲気で、重い溜め息吐いてる事あるんですけど。
それって、これをここに持ち込んだ人のせいでしょうか?

サスケの人間関係に口出しする権利なんて、これっぽっちも無いけれど、もしもそうなら、多分、こういう物に興味を持って好むようや人格の持ち主と、サスケは多分、きっと相容れなくて反発すると思うんだけど。

でも、確かにサスケって、気分の裏表激しいけど、基本的に穏やかで、人の話はあんまり聞かないけど、誰の事も悪く言わないし、興味があれば色んな事に付き合ってくれるから、意外とと付き合い良いし。
だから、サスケと気が合わないようなそういう人とも、サスケは上手く付き合えると思うし。

…そうなると、やっぱりこれは、サスケが自分で誰かから貰って来た物なんだろうか。

むしろ、これはサスケが自分で買い求めて来たとか???

……それはそれでなんか嫌。

いやでもサスケはそういうのはきっちり管理してそうというか、うちはの最後の一人という事で、里側からも徹底的にきっちり管理教育されてそうというか、元々うちはでもそういう教育はきっちりしてただろうと思うし、そうなると、だったらこれは、何故今ここにあるのだという疑問が湧いて、ちょっと不安になるんですけど……。

……………でも、まあ、その辺の事は全部置いておいて?
だって、やっぱり、サスケも男の子ですし?
女の私には了解しきれず、理解できない部分があるのは認めましょう!

それはどうやっても覆らない訳ですから、まるっとその辺全部はサスケの良識を信用するとして、このブツがサスケの部屋にあった一件は、謎は謎として、謎のままで構いません。

今まで通りで居たいなら、下手に触れない方が良いような気がするし。
だって、同年代の男同士として、サスケの赤裸々な男性生理の悩みや、下ネタ的な物を、話の流れでサスケから私に振られでもしたら、困るの、私ですし…。

今まで運良く一度もそんな話題はサスケの口から出てこなかったし、そういう空気になった事もなかったけど。
こないだ、サスケの女性の好みみたいな物は、初めて私がサスケに聞いちゃったけど、サスケは私に聞いては来なかったし。

でも、もし、今後、そういう話題をサスケから振られてしまったとしたら。

そしたら、困る。
めちゃくちゃ困る。
だって、そんなの答えられない。

私には、そんなの、無いもの…。

サスケと違う成長なら、私も順調にしているけど。
だから、こんな風にサスケと仲良く出来るのは、今だけ何だろうと思うけど…。

でも、仲良く出来てる今のうちに、そういう話題を振られたら困る!

サスケ相手にだけじゃありません!
同期の男連中全員にです!

だって、私、男って事になってるし。

何だかんだ、私は結構ハブられ気味で、運良く今まで全回避出来ていたけれど!

これからもそうとは限らないって気付いちゃいました。
だって、サスケのお家のサスケのお部屋にこんな物が有りましたし。

どうしよう。
ぼんやりとした受け答えなら、ぼんやりした想像でなんとなくは出来なくは無いかもしれないけど、疑われないように実感の伴った受け答えするには、圧倒的に知識不足です!!!!

……おじいちゃんに頼んで、こっち方面の知識を教えて貰えないか動いた方が良いんだろうか。
現時点で下手に受け答えして疑問持たれて、それがきっかけで私の性別バレしちゃうとか、絶対絶対嫌過ぎるし!

そんな事になったら、サスケと気まずくなる未来しか浮かんで来ない!!!!
そんなの、嫌だ!!!!

ずっとこのままの距離感で、サスケとは居たいのに。

それに、です。
どうしてこんな物がサスケの家に、ここにこうしてあるかはさておき。

要は、これが切り札として如何に有効か否かが問題なんです。
だけど、これは明らかに私の勝ち札ですよね?
いつか来る私の完全勝利の為の切り札として、記憶の端に止めて置きましょう。

最終的にそう決意して、私はびっしりと冷や汗を掻きつつ、必死に動揺を抑えながら、ブツを発見場所に元通りに戻して、そっと洋服箪笥にしまいました。

凄く、びっくりしました。
心臓止まるかと思った。

……今後、取り込んだ洗濯物は、畳んでリビングに置いておくか、事前にサスケに部屋に立ち入る許可を取るかのどちらかにしておきましょう。
絶対に。 
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