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NARUTO 桃風伝小話集

作者:人魚
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その31

 
前書き
木の葉の外にお出かけだってばよ直後の、帰還後の一幕。
その2 

 
猫バア様の所から帰ってきて。
サスケのお家にお誘いされた後。
何だかんだあって、結局、私のお家でご飯を食べて、今後についての作戦会議に落ち着いた。

適当な食べ物屋さんを二人で巡って、忍に必要な栄養についてをあれこれサスケといちいち議論しながら、楽しく夕食のおかずを手にいれて。

二人揃って私のお家を目指します!

サスケと連れ立って私のお家に向かうのなんて、初めてです!
何だかとっても嬉しくなる。
ちょっぴり浮かれて、ついつい調子に乗っちゃいます!!

「えへへ。ねえ、サスケ。また手を繋いでも良い?」
「はあ!?」

里を抜けて、辺りは私のお家のある山の入り口に差し掛かり、里の人間の目は完全に途絶えた。
サスケが相手とはいえ、人目が有るところで必要以上に仲良くしてると、後でサスケに何が起こるか分からない。
でも、ここからなら。

人目が無くなった事を見越した私からの、突然のお願いに、サスケがぎょっと目を向いた。

「サスケが僕のお家に来るのって、初めてだなあって思ったらなんか嬉しくって!さっきみたいに、またサスケと手を繋ぎたいなあって。ダメ?」
「だ、駄目じゃ、ない、が…」

小首を傾げて期待を込めてサスケを見詰めれば、何故か妙にサスケの落ち着きがなくなった。

さっきは繋いでくれたから、今度も繋いでくれると思うんだけど…。
駄目なの?

じいっと、期待を込めて、サスケの事を見詰め続ける。
私の視線から逃げるように、サスケがふいっと視線を逸らした。

「お前、調子に乗るのも程々にしとけよ」

結局、溜め息混じりに釘を刺しつつ、それでもサスケは私の手を取ってくれた。
それが嬉しくて、繋いだサスケの手をしっかりと握り締めて、満面の笑みで頷いた。

「うん!」
「…本当に分かってんのか?」
「分かってるよ?人前ではしないし、どうしても我慢できない時だけお願いするもん」

疑わしそうに訊ねてきたサスケにそう言えば、疑いつつも納得してくれたのか、微妙に眉間にしわを寄せつつ、サスケは無言になりました。

大丈夫。
ちゃんと分かってます。
私、人柱力ですもの。
今まで以上に仲良しな所を里の人間に見つかっちゃったら、サスケまで何されるか分かりませんもんね!

今までサスケは無事だったし、サスケが里の人間なんかに後れを取るとは到底思えないけど、用心は必要だし。
サスケと仲良くするのは、今みたいに人目がなくて、我慢出来ない時だけにするつもりです!

ちゃんと、サスケとヒナタの事は、私が責任持って里の人間達から守ってあげないと!
だって、二人は、大事な大事な私の友達ですもの!!

胸の中で決意を新たにして、私も特に話すことはなかったので黙ります。
そうして、里外れの山の中腹にある、薪小屋を改築したような私のお家まで、サスケと手を繋いでうきうきしながら歩き続けました。

到着した私のこぢんまりとしたレトロなお家を、サスケは無言でまじまじと観察してた。
お家周辺の様子についても。

実は、私のお家の周りって、獣避けの結界張られてて、人間も、私が許可した人以外は、少し辿り着き難くなってるらしいんですよね。
完全に辿り着けない訳ではないらしいけど。

基本的に、私に害意のある生き物は近付けなくなってるらしい。
人間には、効きが薄いらしいけど。

だって、結界抜けた後に害意持たれたりする事が、無いわけじゃないですもんね。

だから、結界張ってもらってからも、警戒は怠ってません。

というか、実は結界を張ってもらって暫くして、お家の畑にも小鳥さん達すら寄って来なくなっちゃって、こっそりしょんぼりしてたら、それに気付いたイタチさんが調整してくれて、こんな感じの結界に落ち着いた。

サスケは写輪眼出してるし、多分、その辺の確認もしてるんだろう。

サスケが覚えてるかどうか分からないけど、実はこの結界って、フガクさんとイタチさんが協力して張ってくれたものなんです。
ミコトさんからの要請で。
私がミコトさんに性別見抜かれちゃった後に。

山の中での、子供の、それも女の子の独り暮らしは心配だからって理由で。

サスケにはまだ話して無いけど、ミコトさんとイタチさんには、サスケのお家に遊びに行くようになって結構直ぐに、私の性別バレちゃってたんですよね。

ご飯食べながら、それも後でサスケにもその事教えてあげよう。
イタチさんが絡んでるから今まで話辛かったけど、今なら多分大丈夫だし。
多分だけど。

それにサスケなら、この結界について、何か分かるかもしれないし。
幻術の苦手な私独りでは、いまいちこの結界の仕組みの解析が進まないんですよね。
サスケなら、何か分かる事があるかもだし。

だって、サスケだって写輪眼持ってるし、腐ってもうちは一族だし。
幻術の苦手な私よりも、こういうのは絶対得意な筈だし。

結界の維持自体は、結構初期の頃から私のチャクラだけで賄ってるんだけど、術の仕組みが良く分からなくて、何かの拍子に破られちゃったら、私には掛け直せないんですよね。

でも、それじゃ困るような気もしなくもないし、私のお家の事だから、なんかちょっと気になるし、私でも掛け直せるようになりたくて、どんな術なのか、色々頑張ってみているのだけど。 

これといった成果が、未だに上がって無いんですよね。

結界を維持出来てる仕組みと理屈は理解できてるけど、肝心要の術の構築の所がさっぱりです。
ちんぷんかんぷんなんです。

幻術ぽいのだけは掴んだけれど、そこから先に進めない。
破れちゃったら掛け直せないから、無理も出来ないし。

相当高度な幻術何だろうなとは、薄々感じているけれど。

だって、うちは一族の長と、その息子の天才の呼び声高いイタチさんが二人がかりで張ってくれたんですよ?
とても難しい術なのかもしれないし。

きっかけはとってもあっさりしてたけど。

サスケのお家に遊びに行ったら、帰り間際にミコトさんがフガクさんに頼んでおいたからと、フガクさんにお家まで送られる
事になって。

そこにたまたま帰宅途中のイタチさんと、うちはの集落と木の葉の境目で行き逢って。

声をかけて来たイタチさんに、ふと思い付いたようにフガクさんが同行を命じて、こうなったんだけど…。

経緯を思うと、そんなに難しくない術のように思えるけど、基本スペック高過ぎなうちはの人達の『普通』を甘く見てはいけないという事を、ミコトさん達との付き合いの中で、私は嫌と言うほど良く知っている。

だから。

フガクさんが、イタチさんに、初めてかける術のかけ方を口頭で教えながら、あれよあれよと二人がかりでその場でかけてくれたこの結界が。

簡単な物なのか。
それとも違うのか。

幻術の適性の低い私には、さっぱり判断つかないんです。
その辺りの事も、実はサスケに聞いてみたい。
あわよくば、一緒に再現できる所まで持って行きたいんです。

少なくとも、サスケには修得して欲しい。

だって、今となっては、ある意味これも、うちは一族の遺産みたいなものだと思うし。
うちは一族のサスケは受け継ぐべきですよね、多分きっと。

取り敢えず、山の中の少し開けた所にある私のお家の周りを一通り確認して、サスケの気が済んだらしい頃を見計らって、お家の中にあげたげました。

お家の中に上げたサスケは、薪小屋を改築したような、こじんまりとして少し古めかしい私のお家の中の、そんなに立派なものでもない家具なんかに飾ってあった、おじいちゃんやミコトさんから貰ったぬいぐるみや、綺麗な細工が施された小物入れなんかの女の子らしい品々や、ヒナタからの誕生日プレゼントの可愛らしいレース編みのテーブルクロスにびっくりして、物珍しそうに眺めたり、居心地悪そうにしたりしてた。

言い辛そうに、そういう物が好きなのか訊ねて来たりもして。

それに、何となく落ち着かなそうな素振りで、いつもと違う行動をしきりに取っていて、そわそわしてた。

慣れない場所で落ち着けないサスケには悪いけど、そのままサスケを少し一人にして、サスケの希望通り、有り合わせのお味噌汁を作って。
そうして、お家に常備してた作り置きの菜物と一緒に、買ってきたお弁当とお惣菜を食べてお腹がくちくなって、食後の一息を吐いていた頃。

サスケが本題を切り出して来ました。

「ナルト」
「なあに?」
「今後のオレ達の行動方針について、話し合っておきたい」

そう言われて、真っ直ぐサスケの目を見た途端、サスケが写輪眼を発動させて、あっという間にこの前と同じようにサスケの作った幻術世界に引き込まれました。

この前同様、とても居心地の良い、日向ぼっこに適した森の中です。

私との話し合いするにあたって、この幻術世界の構築を選んでくれたサスケに、なんだかちょっぴりほっこりする。

それと、サスケから、サスケの優しい気持ちを、私がいっぱい貰ってるような証拠な気がする。
ちょっぴりむず痒い。

だから、照れ隠しに、この前は指摘しなかった、この世界の『音』についての指摘をして、ちゃんとサスケを仏頂面にさせてから、いよいよ話し合い開始です!

みっちり、サスケと意見交換する事になりました。

良い機会なので、私の敵の『暁』の成り立ちと現在、ダンゾウが手にしてる万華鏡写輪眼についても話しておいた。

元の持ち主の、シスイさんの情報も添えて。

実は私、一度だけシスイさんとも面識があって、チャクラの匂いを知ってたんですよね。
仲良くなってみたいってちょっと思った人でもあったし。

だから、シスイさんのチャクラの匂いは直ぐに覚えちゃってました。

だから、ダンゾウの右眼について、ずっとずっと確信があったんです。
漸く、サスケにも、伝える事ができた。

ここから先は、私一人じゃなくて、サスケとの相談です。

十尾復活阻止した後。

木の葉を潰すのか。

それとも、改革と再建を目指すのか。

色々、私にとっても正念場だと思います。
いい加減、覚悟、決めようと思います。

里の人間を生かすか、全部殺すかの、決断をするその覚悟を。

でも、どっちにしても、サスケとはずっと一緒です!
それが嬉しいから、サスケの選択次第では、私の復讐断念する事を考えてあげなくもないかもしれない。

だって、サスケとも、ずっとずっと一緒なんです!
九喇嘛と一緒に、ずっとずっと私と一緒です!

そんなサスケのお願いなら、私的に無理なお願いでも、聞いてあげる事も吝かじゃない。
自他共に認める友達ですもんね、私達!

そんな事を考えながら、幻術世界で、里とうちはとダンゾウについての、私からの新情報に。
難しい顔で考え込んでるサスケを前に、ついついニコニコとしちゃいました。

浮かれてるって分かってるけど、どうしようもなく嬉しいんです。

お父さん、お母さん。
『木の葉』に、私の『家族』が出来ました。
私を『家族』にしたいって人達が居たんです。

私だけじゃなくって、その人達もそう思ってくれてたんです!!

だったら、大事にするのはどっちか、なんて。

そんなの、当たり前の事ですよね? 
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