夢幻水滸伝
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第百十七話 枢軸の者達の素顔その四
「進んで注文しよう」
「ならそうすることだな」
「そして酒はな」
見れば四人共酒も飲んでいる、寿司と酒という日本ではよくある組み合わせを心から楽しんでいるのだ。
「おかわりだ」
「美味いからだな」
「まだまだ飲める、しかしこの楽しみ方は」
寿司と酒、この組み合わせはというのだ。
「ある意味恐ろしいな」
「病みつきになるからか」
「そうだ」
飲みつつの言葉だった。
「まさにな」
「そう思うならもっと飲むことやな」
ゴーディマーはヴァイドの言葉に応えて酒をさらに注文した、寿司によく合うと言われている柄をだ。
「そしてや」
「心ゆくまでか」
「酔うんやな」
「寿司も楽しんでだな」
「そや、しかしわしもな」
「私もや」
ゴーディマーだけでなくシャーデーも言うことだった。
「かなり酔ってきたわ」
「さっきから結構飲んでるしな」
「これしきで酔うのか」
シータは二人の言葉を聞いて笑って返した。
「まだまだだな」
「いや、自分達が強いやろ」
「そう言うべきやろ」
二人は今も飲んでいるシータにこう返した。
「枢軸はこっち以上に酒豪が多いっていうが」
「ほんまみたいやな」
「酒豪が多いかどうかは知らないが」
言いつつだ、シータは今度は鰯を食べつつ言った、この魚は一見安いが寿司のネタにも実にいいのだ。
「これ位は枢軸の誰でも飲める」
「何でもない」
ヴァイドも言うことだった。
「まだ飲むぞ」
「むしろはじまったばかりだ」
「そう言えること自体が凄いわ」
ゴーディマーは心から思った、そうして彼も飲むが先に限界が来たのは彼とシャーデーで寿司屋を出る時枢軸の二人は足取りはしっかりしていたが彼等はふらふらしていて宿に帰るのも一苦労となっていた。
黒い毛の毛人の大柄な科学者の白衣それに白いタキシードを着た男がインペルとルルフォと共に蕎麦屋でざるそばを食べていた、そうしながら酒も飲んで言った。
「ふむ、このお蕎麦は」
「美味いか」
「どないや」
インペルとルルフォは二人で彼に問うた、見れば二人ともざるそばと酒が一緒にある。
「日本の蕎麦は」
「ここは私等が見付けた美味い店やが」
「美味しいな」
男はこう答えた、天奇星ニコライ=チェッチェフである。ロシアノボシビルスク出身であり職業は科学者だ。ロシアひいては枢軸の技術部門を一手に担う科学者でこの勢力の技術的発展は彼によるところが大きい。
「実に」
「そうか、美味いか」
「そう言うと日本の連中も喜ぶわ」
「あと紹介した私等も嬉しい」
「そう言ってくれるとな」
「これなら何枚でも食べられる」
チェッチェフは蕎麦をすすりながらさらに言った。
だがここでだ、彼はこうも言った。
「しかしお蕎麦は噛んではいけないと」
「ああ、それな」
インペルがすぐに答えた。
「実は関東、江戸の方の話や」
「関西の話ではないのか」
チェッチェフは今自分達がいる平城京がある関西のことも話した。
「それは」
「そや、それはおつゆがちゃうからな」
「このそばつゆか」
チェッチェフは今度はそばつゆを見た、今自分が左手に持っているそばつゆ用の碗の中にあるそれを。
「関東と関西では違うのか」
「これ幸田に言われたことやが」
この前置きを置いてだ、ルルフォが話した。
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