夢幻水滸伝
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第百十七話 枢軸の者達の素顔その三
「破壊がだ」
「ええことになるか」
「そうも考えられる」
「そういうもんか」
「わたくしの考えではな」
ヴァイドはこう断りもした。
「そうも思う」
「少なくとも私達がこの世界でやるべきことは決まっている」
シータは数の子を食べながら話した。
「この世界を救うことでな」
「そのこと自体はすべきやな」
「それが使命だからな、しかし」
「それでもやな」
「世の中一概に善悪は言えない」
ヴァイドが言う様にというのだ。
「黄金の精神や吐き気を催す邪悪はあるがな」
「文句なしに素晴らしいもんとか」
「唾棄すべきものはな」
この二つはあるというのだ。
「あるが」
「世の中で善悪はか」
「一概に言えない、カーストもな」
ヒンズー教のこの制度もというのだ。
「善悪の問題ではないのだ」
「ええ面もあるさかいか」
「そうだ、しかし今我々はな」
「こうしてお寿司を食べてるけれどな」
それも寿司屋のカウンターでだ。
「外の世界では出来んな」
「そうなる、そして今はな」
「お寿司をやな」
「共に食べよう、次はだ」
シータは店の品書き、壁に木札に書かれているそれを見つつ言った。
「納豆をいくか」
「納豆か」
「それをいくんか」
「そうしたい」
シータはゴーディマーとシャーデーに答えた。
「是非な」
「それはまた冒険やな」
「お寿司最初に食べる時に納豆か」
ゴーディマーもシャーデーも驚きを隠せなかった、それでシータに言うのだった。
「あれはな」
「値段の問題やないで」
「癖が強いからな」
「中々難しいで」
「承知のうえだ」
シータは二人に不敵な笑みを向けて言葉を返した。
「既に起きた世界の寮で知っている」
「納豆のことは」
「それでそう言うんかいな」
「食堂でも出て来る」
学生食堂、そこでというのだ。
「あの独特のねばねばした感じ、そして案外あっさりした味がだ」
「好きか」
「そうなんか」
「あれは素晴らしい食べものだ」
納豆を絶賛さえした。
「だから今からだ」
「納豆をか」
「それのお寿司を食べるか」
「そうする、是非な」
「わたくしは食べない訳ではないが」
ヴァイドは平目を食べつつ言った。
「好きかというとだ」
「そうでもないか」
「自分から進んでとなるとな」
それはというのだ。
「そこまではいかない」
「そうなのか」
「だから納豆はいい」
こちらの寿司はというのだ。
「次はイクラを頼もう」
「そうか、それか」
「イクラは好きだからな」
こちらはいいというのだ。
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