八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五十二話 ふわふわ卵その十
「あの人も」
「逆に地元以外だと」
「嫌われ者だからね」
もうそれに尽きてだ。
「そりゃ悪いことばかり伝わっていて」
「好きな食べものとか」
「そうしたお話なんて」
それこそだ。
「出なかっただろうね」
「そうなのね」
「三国志で言うと董卓みたいな」
こう言うと幕末をはじめた黒船とペリーは貢巾賊かと思った。
「位置かな」
「董卓も悪名ばかりで」
「人間味のあるところ伝わってないよね」
「酒池肉林暴虐の限りで」
「まだ井伊直弼は文化人としての一面が伝わっているけれど」
朱子学に和歌、茶道に陶芸そして居合に通じていたという。井伊家の十六男かそれ位で世に埋もれるしかないと思って忸怩たる思いをそちらに向けていてそれでそうしたものを身に着けていっていたとのことだ。
「董卓はね」
「もっと酷いわね」
「まあ悪役のポジションはね」
「変わらないわね」
「もうね」
この人はだ。
「幕末、そして維新でね」
「最大の悪役よね」
「だから暗殺されても」
それも堂々とだ。
「皆拍手喝采だったんだよ」
「凄い嫌われ様ね」
「明治維新は多分西南戦争で幕を下ろしたと思うけれど」
そしてその後の大久保利通さんの死でだ。
「西郷さんの死は皆が悲しんだね」
「逆賊でもよね」
「それはね」
逆賊という言葉がだ。
「明治帝が違うと言われたから」
「その方がなの」
「そう、もうね」
それこそだ。
「戦争が終わって西郷さんが死んで」
「それでなの」
「その直後にね」
もうその時点でだ。
「言われてほとぼりが冷めて」
「それからなの」
「高い位を与えられているから」
「逆賊の扱いじゃないのね」
「そうなんだ」
この人の場合はだ。
「大久保さんも西郷さんの死を悲しんだし」
「お二人は親友同士だったのよね」
「幼馴染みのね」
「深い絆があったのね」
「確かに征韓論で衝突したけれど」
それでもだったのだ。
「やっぱり終生ね」
「深い絆があって」
「最初大久保さんは西郷さんは参加しないと思っていたんだ」
「西南戦争に」
「うん、そうだったけれど」
西郷さんの頭ではこれは大義なく勝つ見込みがない戦争だとわかるとだ、大久保さんはわかっていたのだ。
そう、わかっていたけれどだったのだ。
「担がれることはね」
「考えていなくて」
「それで担がれたら」
西郷さんという人はだ。
「腹を括ってね」
「戦う人だったのね」
「そう、だから」
それでだったのだ。
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