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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十二話 ふわふわ卵その九

「その時でね」
「そうだよね」
「ちなみに前の戦争の時は」
「二次大戦の時だね」
「当時の偉い人達は日本と一緒に戦って」
「タイって枢軸国だったからね」
「そう、けれど」
 枢軸国だったけれどだ。
「日本が負けるとね」
「その時の偉い人達をだね」
「裁判にかけてね」
「牢屋に入れてだったね」
「責任を取らせることにしたけれど」
 これがだ。
「タイはアメリカには宣戦布告していないとか」
「そう言ってだね」
「結構凄いこと言って」
 そうしてだった。
「戦争責任から逃れて。日本には悪いけれど」
「ああ、それだね」
 僕は思わず苦笑いになって返した。
「日本が全部悪いってね」
「当時の偉い人達に責任を取らせて」
「牢屋に入れてね」
「すぐに釈放してね」
「終わらせたね」
「ええ、そうしたから」
 日本と当時の偉い人達に責任を被せてだ。
「まあこれもね」
「時代の犠牲者だね」
「当時の偉い人達はね、とはいっても」
「死刑になっていないね」
「一人もね」
 最初からそのつもりでやっていた、この辺り絶妙だった。
「そうだったのが幸いでも」
「やっぱり時代によってね」
「犠牲者って出るわね」
「時代によってね」
「それで日本も」
「そうだったんだ」
 ラブポーンさんにあらためて答えた。
「中には死んで喜ばれてる人もいるけれど」
「犠牲者の中で」
「井伊直弼さんとかね」
「この人好きな人いないわね」
「少なくとも僕は見たことも会ったこともないよ」
 幕末一、日本の歴史でも甚だ不人気な人だ。二次大戦中の人達がみなおされてきているのと大きな違いだ。
「あの人の好物も料理部で出してないよね」
「好物って?」
「何か牛の味噌漬けを網焼きにしたものが」
 それがだ。
「好きだったらしいけれど」
「近江牛ね」
「そうだったけれど」
「牛肉?輸入肉でもね」
「高校の文化祭で出すには高いよね」
「ええ、ましてや近江牛で」
 それにとだ、ラブポーンさんは答えてくれた。
「味噌漬けよね」
「お味噌の味がお肉に滲み込むまで時間がかかるよね」
「どうしてもね」
「じゃあね」
 それならと言うのだった。
「無理だね」
「ええ、それはね。というか」
「あの人の好物知らなかったね」
「料理部の誰もね、もう名前すらね」
「何を作るかって時にだね」
「出なかったのよ」
 そうだったというのだ。
「うちの部滋賀県の人もいないし」
「地元では流石に評価されてるらしいけれどね」
 彦根の方ではだ。 
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