八条学園騒動記
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第五百四十三話 目玉焼きとハンバーグその六
「僕達もだよ」
「私達も?」
「だってそのビスマルクの好物食べてるじゃない」
「ハンバーグね」
「上に目玉焼きを乗せたね」
「それじゃあ同じっていうのね」
「そうならないかな」
妹にハンバーグを食べながら笑って話した。
「まさに」
「そうなるわね、確かに」
「そうだよね、お肉も卵も日本のものだけれど」
「ハンバーグの中のパン生地も玉葱もね」
「人参も入れてるけれどね」70
こちらもというのだ。
「そうしてるけれどね」
「それでもハンバーグはハンバーグで」
「目玉焼きも乗せてるから」
だからだというのだ。
「もうね」
「同じなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「ビスマルクのことは言えないよ」
「そうなるのね」
「ステーキだってね」
これもというのだ。
「あっちの食べものだね」
「エウロパの」
「そしてソーセージにしても」
この食べものもというのだ。
「一緒だしね」
「それじゃあ」
「そうしたことを言うことはね」
「意味がないのね」
「ナンセンスって言うか」
ポルフィはこうも言った。
「何の意味もね」
「ないのね」
「美味しいものは美味しいじゃない」
「そう言われたら」
「そうだよね」
「ええ」
その通りだとだ、ミーナも答えた。
「そうね」
「そうそう、もうね」
「美味しいものは美味しい」
「カルパッチョだってね」
この料理もというのだ。
「言うならばエウロパ風のお刺身だけれど」
「美味しいわね」
「僕も好きだし」
それでとだ、ポルフィはさらに話した。
「だからね」
「エウロパ料理とかこだわらないのね」
「ミーナの大好物はパエリアだけれど」
「スペイン料理よ」
この国のものだとだ、ミーナはすぐに答えた。
「言わずと知れたね」
「植民地で一番酷いことした国の一つだね」
「イギリスやフランスと並んで」
「けれどね」
それでもというのだ。
「パエリアは美味しいよね」
「病みつきになるのよね」
「だから」
それでというのだ。
「そんなことを言ってたら」
「美味しいものが食べられなくなるわね」
「そうだよ、ビスマルクはドイツだけれど」
正確に言うとドイツを築いたことになる、元々はプロイセンの人間だったからだ。彼が築いたドイツはプロイセンもその中にある三十五の君主国と四つの自由都市の連合国家であったのだ。その主がプロイセン王でもあるドイツ皇帝だったのだ。
「ドイツっていうと」
「ガス室よね」
連合ではこのことは疑う余地のない真実とされている。
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