夢幻水滸伝
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第百十六話 荒ぶる善その十
「あっちもな」
「わざわざだね」
「この平城京まで来てな」
そうしてというのだ。
「話をしようってなってるんだよ」
「そういうことだね」
「こうしたことは麻友っちもわかるだろ」
「話を聞けばね」
麻友にしてもとだ、幸田に答えた。
「わかるよ」
「そうだろ、とにかくな」
「枢軸の方に都合のいい話だね」
「このことはな」
「そうなんだね
「ああ、それとな」
「それと?」
「知ってるよな、枢軸の星の連中のことは」
幸田は麻友にこんなことも言った。
「特に女帝さんと雷帝さんはな」
「あっ、お二人は」
「公の場ではああした感じだけれどな」
「凄い威圧感でね」
「敵には何の容赦もないさ」
「無慈悲そのもので」
「平気で粛清も虐殺もするさ」
実際に彼等はそうしてきた、敵には微塵の容赦もないのだ。
だがそれでもとだ、幸田は言うのだった。
「けれどな」
「公の場を離れるとな」
「あの二人学校でもなんだよ」
起きた世界でもとだ、幸田はそちらでは彼等と同じ学年の者として話した。
「授業中は緊張した雰囲気でもな」
「休み時間になると」
「別人になるんだよ」
「そっちが時かね」
「どうだろうな、けれどな」
「それでもだね」
「そうした風になるからな」
こう麻友に話すのだった。
「そのギャップにな」
「注意だね」
「そうだよ、驚くからな」
その時はというのだ。
「あらかじめ知っておけよ」
「そんなに凄いのね」
「あの二人公だとああだけれどな」
圧政者、そう言って相応しいがというのだ。
「プライベートだとな」
「そんなに違うんだね」
「おう、おいらもびっくりするからな」
「そういえばロシアの人ってね」
麻友は右の人差し指を自分の唇に当てて考える顔で言った。
「いい人多いね」
「そうだよな」
「素朴で親切で無欲で」
「うちの学園でもそうした奴多いよな」
「怖い政治家もいておそロシアって言葉もあるけれど」
「国としては怖いイメージあってもな」
「いい人多い国だよね」
今話した様に素朴で親切で無欲でというのだ。
「ロシア人気質っていうけれど」
「あれがロシア最大の財産だって言う人もいるな」
「マリーナさんや五悪将もそうみたいだね」
「ああ、マッドサイエンティストもな」
「チュッチェフさんだね」
「あいつも確かにぶっ飛んだ研究や発明するけれどな」
「それでもだね」
「ああ、そこを出たらいい奴だよ」
そうだというのだ。
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