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夢幻水滸伝

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第百十六話 荒ぶる善その九

「もうね」
「長くて二ヶ月でな」
「正直あっちがちょっかい出さないって言っても」
「出す間もなくな」
 それこそとだ、幸田はまた言った。
「終わるぜ」
「そうだね」
「だからな」
「中立条約を結ぶには」
「こっちにはあまりな」
「メリットがないね」
「戦のことを考えるとな、けれどこっちにもな」
 太平洋そして地下世界の方もというのだ。
「メリットがないかっていうとな」
「あるね」
 麻友はすぐに答えた。
「これが」
「統一はすぐにしてな」
「その後内政しないとね」
「その間一番厄介な枢軸が攻めてこないなら」
「内政に専念出来るね」
「おいら達はむしろそっちを見てるからな」
 太平洋そして地下世界の者達は実はそうなのだ、戦の趨勢ではなくその後どう広大な地域と九十五億の民を治めていくかを考えているのだ。
 それでだ、今も言うのだ。
「専念したいよな」
「絶対にね」
「そこでな」
「枢軸が来ないと本当に有り難いね」
「ああ、そのメリットがあるからな」
 だからだというのだ。
「こっちもな」
「条約結んでもいいってことだね」
「それも長い期間な」
「そういうことだね」
「そして枢軸はな」
 彼等はというと。
「連中も内政をしてな」
「アラブ攻めだね」
「それにかかるからな、アラブもな」 
 この地域もというのだ。
「広くてそれなりに人口もいてな」
「星の人達も強いね」
「そうした状況だからな」 
 それ故にというのだ。
「戦に専念したいんだよ」
「腰を据えて」
「そこでおいら達とやり合うとな」
 アラブだけでなくというのだ。
「しかもアラブから北アフリカまで行くつもりだとな」
「余計にだね」
「腰を据えて戦いたいからな」
 そう思うからだというのだ。
「それでな」
「長い期間あたし達とはやり合いたくないんだね」
「そうだよ、むしろあっちだよ」
 枢軸側がというのだ。
「条約を結びたいのは」
「そういうことだね」
「間違いなく巨大な勢力になるおいら達と当分揉めたくないんだよ、ましておいら達の中に手を結んでそれを破ろうって奴いるかい?」
 このこともだ、幸田は麻友に尋ねた。
「そもそも」
「いないね」
 麻友は幸田に一言で答えた。
「百何十人いるけれどね」
「そうした奴はいねえだろ」
「一人もね」
「そうした奴はいねえからな」
「あちらさんもそれがわかってて」
 枢軸もというのだ。
「それでだね」
「ああ、それでな」 
「手を結んでだね」
「それを破られることもねえならな」
 それ故にというのだ。 
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