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八条学園騒動記

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第五百四十二話 朝早くだったのでその十一

「しかしな」
「それでもですか」
「そうじゃ」
 だからだというのだ。
「そうした聖職者もおるとな」
「わかっておられて」
「言うだけならよいが」
「若し小悪党になれば」
「殺しておった」
 そうした僧侶達もというのだ。
「バチカンには何度も攻撃したしのう」
「博士はそちらとも揉められたんですね」
「あまりにも酷いからのう、しかしな」
「しかし?」
「バチカンの腐敗はそうした生臭い尼僧なぞな」 
 それこそという口調でだった、博士は野上君に話した。
「些細なものである位な」
「ああ、酷かったですね」
「そして日本の比叡山も長い間腐敗していたが」
「鳥羽法皇ですらどうにもならない位に」
 このことは院ご自身が言われている、鴨川の流れと賽子の目と比叡山の僧兵はどうにもならないとだ。
「酷かったですね」
「しかしじゃ」
「それでもですね」
「比叡山は十字軍も異端審問もしなかった」
「殺戮はしませんでしたね」
「しかもそこから金を巻き上げる様な所業もな」
「その点はよかったですね」
 それこそとだ、野上君も述べた。
「比叡山も」
「遥かにましであった」
「バチカンと比べたら」
「バチカンの腐敗は知的生命体の文明では結構あるが」
 あのレベルの腐敗はというのだ。
「しかし人類、ホモサピエンスの腐敗ではな」
「一番酷いですか」
「わしはずっと人類と一緒におったのじゃ」
 その文明の中で暮らしていたのだ、マッドサイエンティストとして。
「だから言えるが」
「中世のバチカンの腐敗は、ですね」
「最悪であった」
「まあそうでしょうね」
「知的生命体は時として何処までも腐敗するが」
「その腐敗の極みの一つでしたか」
「そうであった、まことにな」
 博士は野上君に実にという口調で話した。
「酷いものであった」
「じゃあさっきお話した尼僧さんは」
「確かに生臭ではあるが」
 それでもと言うのだった。
「しかしな」
「それでもですか」
「うむ、バチカンどころか比叡山と比べてもな」
「何でもないですか」
「死刑廃止論者を馬鹿共と言って世間に叩かれて」
 博士はこの時も見ていた、それでよく知っているのだ。
「それで反省の言葉を述べた」
「本当に反省しているかはともかく」
「それで引っ込んだからな」
「何でもないですね、それじゃあ」
「そうじゃ、小物でじゃ」
「博士も相手にされませんでしたか」
「生臭坊主もよくおる」 
 勿論この時代でもだ。 
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