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八条学園騒動記

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第五百四十二話 朝早くだったのでその十

「しかしじゃ」
「異常性のみで」
「わしが見てもな、わしはああした狂気はないな」
「はい、確かに」
 野上君もそれはわかっていた、博士はマッドサイエンティストではあるがサイコやそうしたものはないとだ。
「倫理とか法律が通用しないだけで」
「もっと言えば人間でもないがな」
「それでもですよね」
「連中は言うならば誰にも理解不能な」
「異常性によって人間でなくなっている」
「そうした連中じゃ、だからな」
 それ故にというのだ。
「そうした連中を生かしておいてもな」
「意味はないですか」
「うむ、そうしていてもじゃ」
 それこそというのだ。
「税金がかかってな」
「食費やら刑務所に入れている経費で」
「無駄なだけじゃ」
「だからですね」
「わしも思う」
「殺すべきだと」
「だから死刑廃止論なぞはじゃ」
 連合では否定されているこの主張はというのだ。
「全く以て愚かな主張じゃ」
「本当にその通りですね」
「エウロパでは行われておるがな」
「あの連中は似非人権派ですよ」
 野上君はエウロパの者達については吐き捨てる様にして言い切った。
「本当に」
「死刑を廃止してじゃな」
「無駄に税金を使って」
「しかも殺された人達の遺族の人達の気持ちもじゃ」
「わかってないですね」
「昔こんな尼僧がおった」
 博士は彼がよく知っている昔の話もした。
「あるジャーナリストが政治家の選挙に立候補してな」
「応援に来てですか」
「そ奴が死刑廃止を言っていたのでじゃ」
「それに賛同して」
「死刑廃止とか言う馬鹿共なぞとな」
「尼僧って。仏教ですか?」
 野上君はシスターかもと考えたが日本ではこの時代でもクリスチャンは非常に少ないのでそちらの可能性から考えて問うた。
「出家された」
「うむ、そうであったが」
「それにしては馬鹿共とか」
「言葉遣いも駄目じゃな」
「はい、しかも政治の応援演説に出て」
「政教分離も怪しいのう」
「尚且つ殺された人達の遺族に寄り添うこともですか」
「考えずな」
「それでそんなこと言ったんですね」
「そうであった」
「色々酷いですね」
「あまりにも酷くてな」
 それでと言うのだった、博士も。
「わしは今でも覚えておる」
「お世辞にもいい尼僧さんじゃないですね」
「そもそも不倫だの何だのどろどろして出家して作家になったが」
「出家されて」
「それでも賞にこだわったり癌に苦しんで神も仏もないのかとかな」
「本当にお坊さんですか?」
 随分生臭く信仰心も怪しい、野上君は博士の話を聞いて思った。
「その人」
「出家したからのう」
「それならですか」
「僧籍にあった」
「尼僧さんとして」
「しかし僧籍にあってもそれぞれじゃ」
 人それぞれだというのだ。
「昔から破戒僧や糞坊主と呼ばれる者達がおったな」
「ですね、本当に」
「バチカンなぞとんでもなかった」
 博士はこの組織の話もした。 
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