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八条学園騒動記

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第五百四十二話 朝早くだったのでその九

「それでもじゃ」
「先生は、ですね」
「話は聞いてもな」
 それでもというのだ。
「わしはじゃ」
「全く気にされないで」
「やっておる」
「そうですよね」
「うむ。しかし野上君も死刑はか」
「賛成ですよ」
 野上君はこのことはあっさりと答えた。
「やっぱり凶悪犯を長い間刑務所に入れていても」
「仕方ないのう」
「世の中更正しない奴もいますから」
「うむ、サイコ殺人鬼なぞじゃ」
「もう更正するというか」
 それこそというのだ。
「心が人間じゃなくなってますから」
「ああした連中は違うのじゃ」
「ですよね、もう人間として」
「何かがな」
「そうなってますよね」
「心が人間でないとじゃ」
 そうであればというのだ。
「もうじゃ」
「人間じゃないですね」
「サイコ殺人鬼は人間の身体をしておるが」 
 それでもというのだ。
「心が違っておる」
「人間のものとは」
「それ以外のな」
「魔物ですか」
「それじゃ」
 まさにとだ、博士は指摘した。
「その類になっておる」
「それで、ですか」
「そんな奴は更正なぞせん」
「人間でないからこそ」
「そうじゃ」
「だからもう」
「うむ、死刑にするしかな」
 それこそと言うのだった。
「ない」
「そうですよね」
「わしはああした連中とは違う」
「博士はサイコ殺人鬼じゃないですね」
「あれはまた違う」
 サイコ殺人鬼、彼等はというのだ。
「わしはあくまで趣味の一つで何の罪もない者は殺さんな」
「博士の美学ですね」
「そうじゃ、罪のない者を殺して何が面白い」
 こうも言うのだった。
「そう考えておるからじゃ」
「博士は、ですね」
「罪のない者は殺さん」
「そしてですね」
「ヤクザ者やチーマーや暴走族を殺すだけじゃ」
「軍人さんやお巡りさんも殺さないで」
「それでじゃ」
 まさにというのだ。
「やっていっておる」
「左様ですね」
「しかしサイコ殺人鬼は違う」
 彼等はというと。
「それぞれ何かしらのこだわりはあるが」
「それでもですね」
「それはあくまでこだわりでじゃ」
 それに過ぎず、というのだ。
「異常性のみを感じるのう」
「傍から見てそうですね」
「本人はどう思っておるか知らんが」
 サイコ殺人鬼達自身はというのだ、その異常な心理にも彼等なりの考えがあるのもまた事実であるのだ。 
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