夢幻水滸伝
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第百十六話 荒ぶる善その三
「若し婿殿以外のおのこがわらわに無理に迫ろうものならじゃ」
「張り倒すやろ」
「多勢に無勢なら舌を噛むわ」
「純潔穢されるならやな」
「そうじゃけえ。それが大和撫子じゃ」
「ええ考えや、けど旦那さんとは毎日やろ」
「うむ、七回はしたいのう」
碧は今度は回数について答えた。
「そして十六人の子供を産むぞ」
「マリア=テレジアかい。けど僕はや」
「何じゃ、一日七回は無理か」
「そやから出来てもしょびっちはあかんわ」
タイプではないというのだ。
「経験ないのに知識と欲求は桁外れって何やねん」
「四十八手全て知っておるぞ」
経験はないがというのだ。
「他の技もじゃけえ」
「そやから経験ないやろ」
「しかし知っておるぞ」
「ほんましょびっちやな」
「主にも声をかけて中里氏にも声をかけたがのう」
「太平洋と地下世界の星の男全員にやな」
「全員ドン引きで断ったけえ」
そうされたというのだ。
「残念じゃけえ」
「幾ら顔と性格よくても問題外や」
自分から婿にならぬかと声をかけてしかもやたらと夜のことに詳しくそのことにも言及してきてはというのだ。
「そやからしょびっちはあかんのや」
「ううむ、世の中難しいのう」
「自分は論外や、そしてもう一人の論外がな」
前を見据えてだ、芥川は額から冷や汗を流しつつ述べた。
「遂に見えてきたわ」
「はい、あの人もいますね」
佐藤が前から来た枢軸の星の者達を見た、先頭には絹にダイアをこれでもかとちりばめたドレスを着た銀のリングヘアに銀色の瞳を持つ六枚翼の天使であるエカチェリーナとインドの成年男子の礼装であるサリーとターバン、やはり絹でサファイアやルビーで飾ったそれを着ている褐色の肌と赤い瞳を持つ長身の男を先頭にしてだった。
十三人の男女がいた、その十三人の先頭にいるのは小柄な魔族の少女で紫の肌に黒髪そして黒い瞳で豪奢なローブを身にまとっている。
その少女を見てだった、佐藤は言った。
「軍師のターリヤさんもいますね」
「そして先頭におるのは」
香菜も言った。
「エカチェリーナさんとタゴールさん」
「女帝さんと雷帝さんが並んでるな」
「お二人共凄い服やな」
「もう如何にも帝王やな」
「ほんまにな」
「凄い威圧感ですね」
中国明代の高官の礼装姿の莫が言ってきた。
「めっちゃ怖いです」
「ほんまやな」
「プレッシャー感じるわ」
「あの方々と戦うとか」
「もうな」
「どれだけ怖いか」
「そんなこと言うても絶対に戦うからな」
芥川は二人から放たれるプレッシャーに怖気付く三人にこう告げた。
「度胸据えるんや」
「戦はまず度胸」
「そやからですね」
「僕等も」
「度胸据えるんや、僕も今度胸据えてる」
芥川は目の前にいる枢軸の面々の中では一人だけ礼装でいどころかかなりみすぼらいい服を着た黒い肌と髪の毛、瞳の少女を見た。見れば頭に犬の様な耳があって尻尾もある。
その少女を見つつだ、腕を組んで言うのだった。
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