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八条学園騒動記

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第五百四十話 快適な旅その七

「おおむね得体が知れぬな」
「もう他の人には理解しようがないね」
「そんなものじゃなl
「カルト教団を信仰してもってあるよな」
 ライゾウはそうした殺人鬼の話をした。
「普通の宗教を信じていても歪んでいたりな」
「その信仰がな」
「それか何か変に憎んでいたりな」
「強迫観念を持つ奴もおるのう」
「何かもう人間じゃなくなってる」
 ライゾウはよく聞くサイコ殺人鬼達のことを思い出した、タイプは色々だがどれも人間でなくなっていると思ったのだ。
「そんなのばかりだよな」
「そもそもわしは人間ではないがのう」
「いや、その博士よりもな」
 二百億年生きていて二億人殺している博士よりもというのだ。
「人間じゃなくなってるんだよ」
「罪のない人を惨たらしく殺してじゃな」
「それだよ、もう純粋なな」
 それこそ、という言葉だった。
「邪悪っていうかな」
「吐き気を催すじゃな」
「博士はマッドサイエンティストだよ」
 ライゾウはこのことを前提として話した。
「それで無茶苦茶やってるよ」
「わしはそうは思っておらんがな」
「確かに平気で人殺すしな」
 伊達に二億人殺してきてはいない。
「それ自体は悪だけれどな」
「それでもか」
「善人は殺さないよな」
「一人も殺したことはない」
「生きてても仕方のない屑しか殺さねえな」
「そうした奴等が嫌いだからのう」
「好き嫌いが基準ってのはどうかにしても」
 それでもというのだ。
「善人は絶対に殺さないで破壊の限りを尽くしてもな」
「その分の修理費出すしね」
 タロも言ってきた。
「民間施設とか軍事施設には」
「ちゃんとな」
「そう、それが何兆テラでも」
「わしは破壊も趣味じゃが」 
 それでもとだ、博士は話した。
「文明を根絶したり長期に迷惑をかける趣味はない」
「だからか」
「修理費とかも出すんだ」
「左様、そもそもわしは賢者の石を持っておる」
 あらゆるものを自分の思う物質に変えられる魔法のアイテムである、博士はこうしたものも所有しているのだ。
「だから金もな」
「困ってねえしな」
「それこそ無尽蔵に出せるね」
「だからじゃ」
 金も困っていないからだというのだ。
「修理費も出す」
「台風とか地震並に暴れてもな」
「そうするんだね」
「左様じゃ」
 こう言うのだった。
「わしはな」
「成程な」
「その辺りの考えしっかりしてるんだね」
「これもわしの美学じゃ」
「美学だからか」
「それで絶対なんだ」
「マッドサイエンティストは美学あってこそじゃ」
 またこう言うのだった。
「それでじゃ」
「そこだよ、殺人鬼とかってな」
「美学がないというのじゃな」
「ただ人をどう殺したいかだけで」 
 それのみでというのだ。
「美学なんてないんだよ」
「大菩薩峠にも出て来たね」
 タロはこの小説の話も出した、この時代では続編をある作家が書いて一応の完結を見ている。このことは夏目漱石の明暗も同じだ。 
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