八条学園騒動記
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第五百四十話 快適な旅その四
「やっぱり」
「そうであろう、しかもな」
博士は二匹にさらに話した。
「当時は群雄割拠であったわ」
「中国の昔ってよくそうなったね」
今度はタロが応えた。
「政権が潰れたら」
「王朝がのう」
「今は選挙で交代して終わりだけれど」
「昔は違ってな」
「政権が潰れるとだね」
「それで一気に混乱状態に陥ってな」
「群雄割拠になるんだ」
「そうじゃ」
そうなってというのだ。
「それで張献忠の隣にも大きな勢力があってな」
「その勢力と戦っていたんだ」
「梁紅玉という女将軍が明王朝に忠義を尽くして戦っておったが」
「その人強かったんだ」
「かなり強かった、その強敵がおってな」
「虐殺ばかりしていたら」
「攻められておったわ」
その梁紅玉にというのだ。
「それどころか逆に梁紅玉のところに攻め入っておった」
「そこまで出来るなら」
「虐殺ばかりしておったらな」
「攻めるところじゃないね」
「むしろ攻められておった」
そうなっていたというのだ。
「梁紅玉は名将であったからのう」
「それじゃあこの話はか」
「かなり創作が入ってるんだね」
「何か色々な方法で大勢の人を殺したとかな」
「そんな話になっているけれど」
「そうじゃ、確かにあ奴は残虐ではあったが」
張献忠、彼はというのだ。
「言われておる様なことはなかった」
「まあ訳もなく人を殺しまくって喜んでる奴とかな」
「誰も近寄らないしね」
ライゾウもタロもそれはと頷いた。
「無法状態で殺人鬼が暴れ回っていたら」
「皆まずその殺人鬼殺すよな」
「さもないと自分達が殺されるから」
「自分の身を守ろうって思ったら」
「逃げるか」
「その殺人鬼殺すぜ」
「暴君は何故滅ぶかじゃ」
博士は今度はこうも言った。
「それは暴虐の限りを尽くしてじゃ」
「それで人心をなくしてだな」
「滅びるんだね」
「その通りじゃ」
まさにというのだ。
「要するにな」
「張献忠って暴君どころじゃないからな」
「サイコ殺人鬼だよね」
「しかも権力持った」
「そんな奴なんて」
「その様な三百万の人口が一万数千まで減るまでじゃ」
そこまでの惨状になるまでにというのだ。
「どうにかなっておるわ」
「だよな」
「世の中そんなものだね」
「何時でもな」
「そうなるね」
「サイコ殺人鬼は人の上に立てぬ」
博士は断言した。
「ヒトラーやスターリンもそうではなかった」
「確かスターリンって精神病だったよな」
ライゾウはこの時代でも言われているこのことを話した。
「確か」
「左様、猜疑心の塊で人の命なぞ何も思わぬな」
「そんな奴だったんだな」
「しかし流石にじゃ」
「張献忠とは違うか」
「伝えられている話ではサイコ殺人鬼じゃ」
それが彼だというのだ。
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