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八条学園騒動記

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第五百三十九話 帰りの旅その九

「これがな」
「そうなんだね」
「うむ、それでじゃ」
「あの人も創作をしているんだ」
「そうなるのじゃ」
「嘘は吐いていないんだ」
「あ奴は本気で真実と思っておるが」
 そのどうしようもない狂気の中でだ。
「創作なのじゃ」
「そうなんだね」
「しかしな」
「しかし?」
「経済が崩壊するとか煽ってセミナーで高額を取る輩は」
 そうした面々はというと。
「嘘吐きじゃ」
「そうなるんだ」
「そうなのじゃよ」
「それは嘘だね」
「詐欺師でな」
「博士が言うそのうち正体がばれる人達だね」
「そういうことじゃ」
 こうタロに話した。
「要するにな」
「成程ね」
「何度も言うが創作と嘘は違ってな」
「都市伝説は創作で」
「予言もじゃ、そしてな」
「シャバキ氏も嘘は言っていない」
 タロはシャバキのそのことを思い心の中で反芻した。
 そしてそのうえで博士にあらためて言った。
「そうだね」
「そうであろう」
「あの人自身にそのつもりがないからね」
「嘘は自分が嘘とわかっているからじゃ」
 それでというのだ。
「嘘になるのじゃ」
「逆に自分が嘘と思っていないなら」
「嘘ではない」
 そうなるというのだ。
「そうなのじゃ」
「成程ね」
「息をする様に嘘を吐く奴もおるが」
「そうした奴もだね」
「うむ、嘘を嘘とわかっておる」
 そうだというのだ。
「自分自身がな」
「それでなんだ」
「あ奴は嘘と思っておらん」
「それじゃあ嘘にならないんだね」
「自分が間違っておってもな」
「嘘ではないんだね」
「そういうことじゃ、尚わしに嘘を吐く趣味はない」
 博士は自分のことも話した。
「一切な」
「というか博士っていつも正々堂々としてるな」
 ライゾウも述べた。
「包み隠さずで」
「わしの開発、建造した兵器についてもな」
「そうだよな」
「そうしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「わしという者を見せておる」
「そこは確かにな」
「嘘は言わないね」
「そうじゃ、嘘はじゃ」 
 まさにというのだ。
 
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