八条学園騒動記
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第五百三十九話 帰りの旅その七
「別に他はじゃ」
「悪いところはない」
「そうなんだね」
「そこが他の連中と違うんだな」
「世の中の不安を煽ってそれで金儲けする連中とは」
「カルト教団でもない」
こうした組織はこの時代にも残念ながら存在している。
「インチキの類のな」
「そうしたとこもやっぱり人の不安煽るよな」
「それで入信させてね」
「自分達だけ救われるとかね」
「そんなこと言うね」
「挙句は自分達以外を敵とみなしたりして」
「テロとか集団自決とかするね」
こうした事件はこの時代でも連合で稀に起こる、人に心がある限り宗教は存在するがこうした組織も存在するということか。
「それでそうしたとこってね」
「金に汚いことも多いよな」
「あと女の人とかにもね」
「禁欲の様で」
「そうした連中とも違う」
シャバキ、彼はというのだ。
「だからじゃ、わしもじゃ」
「あいつは殺さないでか」
「正面から渡り合ったんだ」
「そうじゃ、そしてさっきも言ったが」
博士は二匹にブランデーのボトルを出しつつ話した。
「わしはこうした風な連中はな」
「殺さない」
「そうするんだね」
「どうせ後で正体がばれるから」
「それでだね」
「確かに騙される者はおる」
こうした者達にというのだ。
「しかしじゃ」
「そうした連中だけじゃない」
「世の中は」
「ちゃんと見抜く奴がいて」
「それでわかるんだね」
「そうじゃ、そもそも何時何処でどうした予言が起こると言ってじゃ」
そうしてというのだ。
「数年後外れておったら説得力はなくなるであろう」
「それはな」
「やっぱりそうなるね」
「外れただろうがってなるぜ」
「後で言われるよ」
「そこじゃ、シャバキもそうであろう」
彼にしてもというのだ。
「あ奴が言った通りになったことはないであろう」
「銀河系の全惑星と衛星が同時に地震に遭ったりとかな」
「そんなことも言ってたけれど」
「グランドクロスが起こるとか言って」
「そうしたことを言った時もあったね」
「しかしじゃ」
予言、それはしたがというのだ。
「一度もじゃ」
「なってねえな」
「あの人の言う通りには」
「それも一度もな」
「なくてね」
「今も人類宇宙にいるぜ」
「僕達もね」
二匹もこう述べた。
「そう考えたら」
「あいつの予言一度も当たってねえな」
「一度でも当たってたら人類滅亡してるし」
「おいら達だってここにはいねえぜ」
「予言は絶対ではない」
博士は空けたブランデーをロックで飲みつつ話した。
「確かにあってもな」
「というか出鱈目多くねえか?」
「巷で言われてる予言はね」
「予言を騙っていながらな」
「本当に人を煽るのばかりで」
「そうした煽るものや陰謀論は昔からある」
人類の社会にというのだ。
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