八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十九話 合気道をしてもその十
「学園にいられなくなったし行き先もなくて」
「その学校にですか」
「逃げる様に行ったけれど」
「何でもチンピラそのものだったとか」
「絶対に碌な奴になってないって思ってたよ」
確信さえしていた。
「そこまで性格も行ないも悪かったから」
「最悪の人でしたか」
「僕が実際に会った中ではね」
まだ十七年しか生きていないけれどだ。
「最低最悪の部類だよ」
「そこまで、ですか」
「正確の悪い人にも色々会ってきたよ」
無論その逆の人達にもだ。
「けれどね」
「その中でもですか」
「五本の指に入る位に」
本当にそこまでだった。
「性格が悪かったね、それでだね」
「少年院に送られるそうです」
「これで破滅すればいいね、ただ」
「ただ?」
「逆恨みもしかねない奴だから」
とにかく性格が悪い、そんな奴だからだ。
「三年の人には注意する様に言ってね」
「先輩もご存知でした」
「どんな奴かだね」
「ですから素性は名乗らなかったそうです」
「それはいいことだね、ただ顔はね」
「それはですね」
「覚えられているかも知れないから」
それでだ。
「気をつける様にね」
「くれぐれもですね」
「その様にね」
「それでは」
「出来れば少年院で徹底的に痛めつけられて」
僕はあいつがそうなることを心から願った。
「狡賢い奴だけれど」
「狡賢いのですか」
「相当にね、だから余計に嫌われていたんだ」
「そうですか」
「けれど少年院で徹底的に痛めつけられて」
僕はまた話した。
「そうして二度と立ち上がれない」
「そうなって欲しいですか」
「何があっても世の為人の為にならない奴だから」
害、それにしかならない奴だ。残念だけれど世の中にはこうした奴もいるのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「もうね」
それこそだ。
「二度と誰にも害を与えない」
「更正はないですか」
「絶対にないね」
「性格があまりにも悪いので」
「うん、本当にね」
「だからですか」
「更正なんて有り得ないから」
とにかく徹底的に性根が歪んで腐っている、そんな奴だからだ。
「もうね」
「少年院で、ですか」
「再起不能になって欲しいよ」
「そして先輩にですか」
「うん、もうね」
それこそとだ。
「復讐に来ない様に」
「気をつけることですね」
「そうなればいいよ、本当に」
「正しい心で悪しき心を成敗しても」
「それで終わりじゃないからね」
世の中にはこうした一面もある、時代劇だとハッピーエンドだけれどそうなるとも限らないのが現実だ。
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