八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十九話 合気道をしてもその九
「その横を風で固切ってふんぞり返って歩くとかね」
「傲慢にも程がありますね」
「それで返事は小さな声でウッス、とかね」
「そんなことはですね」
「間違ってるから」
完全にヤクザの世界だ、日本では質の悪い輩はヤクザ屋か学校の先生がなるものと相場が決まっているのだろうか。
「こんなことが許されるとか一般社会じゃね」
「有り得ないですね」
「その時点でね」
それこそだ。
「そんな風だから」
「それで、ですね」
「僕は合気道部はいいと思うよ」
「そんな返事はしない方ですね」
「武道の部活だから頭は下げられるよね」
「そうしたら頭を下げて返す先生です」
「しっかりしているね」
聞いていてもそれがわかった、僕にも。
「いい先生だよ」
「まことにそうですね」
「そうした先生のところにいたら」
それならだ。
「悪いことにはならないよ」
「左様ですね」
「暴力教師のところにいたらいいことなんてないけれど」
それこそ何一つとしてだ、身体にも心にも深い傷を負ってしまいかねない。
「そうした人ならね」
「一緒にいていいですね」
「そう思うよ、いい部活だね」
「ならですね」
「そう、それならね」
僕は留美さんにさらに話した。
「鍛錬もしやすいよね」
「非常に」
「やっぱりそうだよね」
「心も身体も日々です」
「鍛えられていっているんだね」
「先日三年の方が兵庫でも評判の不良校の二年生を投げ飛ばしたそうです」
留美さんは僕にこうした話もしてくれた。
「ナイフを持っている相手を」
「向かってきたからかな」
「その様です、カツアゲを咎めますと」
「ナイフも犯罪だけれど」
銃刀法違反だ。
「カツアゲもって」
「そちらも犯罪ですね」
「恐喝だからね」
「それで咎めますと」
「襲い掛かってなんだ」
「はい、合気道の技で投げて」
そうしてというのだ。
「警察に通報したそうです」
「そうだったんだ」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「その相手はかつて八条学園にいたそうです」
「ああ、あいつかな」
そう聞いて僕には誰だかすぐに察しがいった。
「二年生だし」
「中等部までこちらだったとか」
「そいつだね、もう中等部で有名人だったんだよ」
「そうでしたか」
「とにかく性格が悪くてね」
僕は留美さんにもこいつの話をした。
「一年の時は成績がよくて成績が悪い奴を徹底的に馬鹿にして告げ口と陰口はしょっしゅうで弱い者いじめは大好きで底意地は悪くて図々しくて強い相手には媚びて」
「本当に酷いですね」
「もう本当に有名だったよ」
それこそだ。
「嫌われ者でね」
「そうでしたか」
「それでね」
そのうえでだ。
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