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八条学園騒動記

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第五百三十八話 牡丹鍋と羊羹その六

「そうしてるんだね」
「要するに」
「そうじゃ、わしは紳士でありたいとじゃ」
 その様にとだ、博士は盃で酒を飲みつつ話した。
「常に思ってるしな」
「タキシードだしな、服は」
 ライゾウは博士のこのことを指摘した。
「だから余計にだな」
「タキシードはスーツ以上にじゃ」
「紳士の着るものだよな」
「礼装じゃからな」
 それだけにとだ、博士は酒を飲んでから猪の肉を鍋の中から取って自分の碗に入れてそれを食べつつ話した。
「まさにじゃ」
「紳士の着る服だな」
「そうじゃ、だからじゃ」
「礼儀作法はか」
「気を付けておるのじゃ」
「そういうことだな」
「しかもじゃ」
 博士はさらに話した。
「わしのタキシードは白じゃな」
「普通黒だね」
 タロが言ってきた。
「タキシードは」
「そうじゃな」
「黒でも礼装だけれど」
「白はじゃ」
「それはだね」
「黒より位の高いな」
 それよりもというのだ。
「そうしたものとじゃ」
「されているんだ」
「本来は結婚式の時に着る」
「そんなものなんだ」
「他の時でも着るが」
 それでもというのだ。
「黒のタキシードよりもな」
「格があるんだね」
「黒はパーティーや普通の儀礼の時でな」
 そうした時に着る服だというのだ。
「言うなら普通の礼装じゃ」
「じゃあ白は特別な」
「そうした時に着るものでな」
「それでだね」
「黒以上にじゃ」
「礼儀作法もなんだ」
「求められる服じゃ」
 こうタロに話した。
「だから今もじゃ」
「正座してなんだ」
「座っておるのじゃ」
「成程ね」
「そしてじゃ」
 博士はさらに話した。
「わしは自分のルールとしてじゃ」
「ルール?」
「それでなんだ」
「紳士としてな」
 その様にというのだ。
「振る舞いには気をつけておる」
「そういえば博士はな」
「紳士ではあるね」
「無茶苦茶してても」
「それでもなんだよね」
「マッドサイエンティストは紳士でないとじゃ」
 それことという口調で話した。
「駄目なのじゃ」
「博士としては」
「そうなんだね」
「無作法だとマッドサイエンティストになれない」
「それが博士の考えなんだ」
「モラルは無視してもポリシーはあり」
 自らの中にというのだ。
「わしはそう考えておる」
「マッドサイエンティストは紳士であれ」
「今もだね」
「そうじゃ、常にであるからな」
「今みたいに食う時も」
「紳士でないと駄目なんだ」
「酔った時もじゃ」 
 今度は飲みつつ言った。 
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