八条学園騒動記
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第五百三十七話 歓楽街は素通りしその十一
「もう一つもじゃ」
「ない」
「そうなんだね」
「その時に軒並み潰れた」
そうなったというのだ。
「そして自浄が効く様になった」
「いいことだな、それでな」
ライゾウは博士の話をここまで聞いたうえで述べた。
「あと少しでか」
「その店じゃ」
「そうなんだな」
「うむ、それでは」
博士はライゾウに応えて話した。
「いよいよじゃ」
「これからか」
「牡丹鍋だね」
「そうじゃ、二匹共よいな」
博士は二匹にあらためて話した。
「猪肉を食べるぞ」
「いいね、僕もね」
タロもここで舌なめずりした、そうして言った。
「早く行きたいよ」
「そうしてじゃな」
「うん、そしてね」
そのうえでというのだ。
「たらふく食べるからね」
「そうすることじゃ、勿論わしもじゃ」
博士もというのだ。
「そうする」
「たらふく食べるんだね」
「その通りじゃ」
こう言いつつまた風俗店の横を通り過ぎたがそこには一瞥すらせずそうしてまたこんなことを言った。
「デザートも考えておる」
「デザートは何だよ」
「何を食べるのかな」
「羊羹がよいか」
こちらはというのだ。
「最後はな」
「羊羹か」
「そういえば博士甘いものも好きで」
「和菓子もだよな」
「そっちもよく食べるね」
「それでじゃ」
個人的な好みからというのだ。
「ここはな」
「そうか、じゃあな」
「デザートはだね」
「羊羹じゃ」
それだというのだ。
「そうしようぞ」
「それも決まったしな」
「じゃあね」
「行こうぞ」
こう話してだ、そのうえでだった。
博士は二匹を連れてそのうえで店の前まで来た、そうして彼等を連れてその店に意気揚々と入っていった。
繁華街は素通りし 完
2019・8・24
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