八条学園騒動記
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第五百三十六話 山に行くとその二
博士は登山客達に別れを告げてそうしてタロとライゾウを連れてそのうえで赤城山にさらに向かった。その途中ライゾウは博士に言った。
「博士ってモロバレのことはともかくな」
「どうしたのじゃ」
「その白いタキシードとマントってな」
「あと革靴もじゃな」
「ああ、その恰好はな」
どうにもと言うのだった。
「登山向きじゃねえな」
「わしはいつもこの服装じゃ」
「それも博士のポリシーなんだな」
「そうじゃ」
ライゾウにはっきりと答えた。
「わしはな」
「服装もポリシーなんだな」
「マットサイエンティストに相応しいであろう」
「あと白衣もあるな」
「それではどうもと思ってじゃ」
「その恰好かよ」
「左様、似合うであろう」
博士はライゾウにニヤリと笑ってこうも言った。
「わしに」
「まあな、それはな」
「似合うことは似合うね」
タロもそうだと認めた。
「それは」
「そうであろう」
「博士背が高いしね」
「昔は一八〇であったが」
それがというのだ。
「今は二メートルじゃ」
「背伸びたんんだ」
「時代と共にな」
「そうなったんだ」
「うむ、それがな」
背が伸びてというのだ。
「ニメートルになった」
「食生活のせいかな」
「そうじゃ」
「やっぱりそうなんだ」
「肉や乳製品を食べておるとな」
つまり動物性蛋白質を摂取してというのだ。
「そうしてじゃ」
「背が伸びたんだね」
「尚わしの身体はまだ成長期にある」
「二百億歳でも?」
「そうなるのじゃ」
博士はタロにこのことも話した。
「わしはな」
「そうした身体の仕組みなんだね」
「左様、凄いであろう」
「まあね、それで二十センチも伸びたんだ」
「千年の間にな」
「千年で二十センチってな」
その伸び具合についてだ、ライゾウは話を聞いて述べた。
「遅くないか?」
「そうかのう」
「人間の成長期ってな」
「わしはそもそも人間ではない」
「いや、それは置いておいてな」
博士のその問題点については即座にこう返してなかったことにした。
「人間って数年でそれ位は普通にだろ」
「成長期はのう」
「大きくなるだろ」
「二十歳までに一九〇位になる」
「それじゃあな」
「だからわしは人間ではない」
博士はライゾウが打ち消した言葉をまた言った。
「それでじゃ」
「そうした成長具合かよ」
「そうなのじゃ、とにかくじゃ」
「今の体格はだな」
「多くの肉と乳製品を食べてな」
そうしてというのだ。
「出来たのじゃ」
「そういうことか」
「徐々にな」
「やっぱり肉とミルクか」
ライゾウは歩きながら納得した顔になった、山道を歩いていくが実は彼もタロもこうした道には慣れてはいない。
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