八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十六話 ビロードその十一
「ベーブ=ルースとは違って」
「あの人も横柄だったらしいけれド」
「子供には優しかったんだよね」
「それで邪気のない人だったかラ」
「今も人気があるんだね」
「ええ、けれどネ」
それでもというのだ。
「タイ=カップはネ」
「そうした人だったから」
「今も言われてる位ヨ」
「そうだよね」
「本当に人間性と能力って別ネ」
「うん、性格がどんなのでも」
それこそ極悪人や卑劣漢でもだ。
「作品が悪いとは限らないよ」
「そうよネ、けれど人間として酷い人とハ」
ジューンさんはここでこうも言った。
「私一緒にいたくないかラ」
「まあそうだよね」
「絶対に嫌な気持ちになるかラ、だったラ」
「それだったら?」
「能力が高くて人間性のいい人とネ」
「一緒にいたいんだ」
「ええ、それが理想よネ」
僕に顔を向けて聞いてきた。
「そうよネ」
「うん、実際にね」
「人柄がよくてお仕事が出来るなラ」
「それが一番だよ」
「そうよネ」
「クラスでも成績がよくても性格が最悪なら」
こうした奴は何処でもいると思う。
「誰も近寄らないから」
「嫌な思いするかラ」
「実際森鴎外って生前人間としてはね」
「嫌われていたとカ」
「そうした話もあるみたいだし」
卑しい人間性だったと言う人すらいる、尚彼を見出した立場となる山縣有朋も不人気だったけれど襟を開いて話すとそうでもなかったらしい。
「あの人はね」
「とかくいい人じゃなかったのネ」
「今話してもわかるよね」
「ええ、どう見てもネ」
ジューンさんはまた僕に話してくれた。
「そうじゃないわネ」
「そうだよね」
「だったら真一郎の方がずっといいわネ」
「誰、それ」
急に名前が出て来てだ、僕はその名前を出したジューンさんに尋ねた。
「一体」
「私のステディよ」
「彼氏さんなんだ」
「そう、実は同じクラスで」
それでというのだ。
「お付き合いしてるの」
「そうだったんだ」
「体育祭の後に告白されテ」
「その時から」
「交際してるノ」
「それは初耳だね」
「言ってなかっタ?」
「初耳だよ」
本当にだ、僕は答えた。
「このことは」
「義和には話してなかったのネ」
「他の人には話してたんだ」
「結構話してたけれド」
「八条荘の人には」
「そうだったけれド」
それがというのだ。
「義和にはまだだったのネ」
「本当にはじめて聞いたから」
ジューンさんにこのことを強調して話した。
「だから」
「驚いてるノ」
「そうなってるよ」
とはいっても何かこうしたことが続いているので驚いていてもそれは然程でないことは事実である。
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