八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百四十六話 ビロードその十
「そうなったみだいだよ」
「何か先生の言う通りネ」
「太宰治は敬愛していたけれど」
そういうことが如何にも嫌いそうな人だけれどだ。
「知らなかったんだろうね」
「鴎外さんのそうしたところハ」
「権力志向だったり頑迷だったことはね」
「最近知られる様になったのネ」
「そうなんだ、どうもそれまではね」
二十世紀の末まではだったらしい、日清戦争から百年程経って。
「脚気のこととかその人間性とか」
「あまり知られてなかったノ」
「偉人にされてたから」
確かに作家としては偉大でもだ。
「作家でありお医者さんでもあった」
「凄い人だっテ」
「けれど舞姫は一説には」
この悲劇、代表作もだ。
「実はドイツで女の人を妊娠させて捨てた」
「最低ネ」
ジューンさんの顔が嫌悪に変わった、それも一瞬で。
「それハ」
「そうしたお話もあるからね」
それでというとだ、僕は話した。
「あの人はね」
「人間としてハ」
「かなり酷かったかもね」
「そうネ、私もネ」
ジューンさんもというのだ。
「最低に思えるワ」
「脚気のことといいね」
「立身出世はネ」
「まだいいんだね」
「そこまではいいとしテ」
まだ、という口調の言葉だった。
「脚気は駄目だけれド」
「それで多くの人が死んでるし」
「ある程度出世したいとか思うことハ」
このことはというのだ。
「人にはまだあるかラ」
「まだいいんだ」
「私はネ、けド」
「舞姫のことは」
ドイツとの女の人のことはというのだ。
「アウトだね」
「本当に最低じゃなイ」
「そうだよね」
「というか作品はよくてモ」
「人としてはね」
「そんな人だったのネ」
「作品の質と人間性は別だから」
このことはよく言われる通りだ。
「モーツァルトだってそうだったしね」
「あの人も人間性ハ」
「無邪気で悪意のない人だったけれど」
そうした意味では善人だけれどだ。
「下品なジョークが大好きで浪費家でね」
「そこが困った人よネ」
「そうした人だったらしいし」
アマデウスという映画を観てもそうした人だったと描かれている。
「問題のある人だったみたいだし」
「作品と人間性は別ネ」
「アメリカにもそうした人いるよね」
「野球選手だったらタイ=カップネ」
ジューンさんはこの人の名前を出してきた。
「あの人はネ」
「野球選手としては凄くても」
「人間性ハ」
現役時代から有名だったらしい。
「最悪だったっていうワ」
「そうらしいね」
「もう問題だらけデ」
人種的偏見は強くて粗暴で毒舌家だったらしい。
「今も言われてるワ」
「アメリカでは有名だね」
「日本でもでしョ」
「うん、知られてるよ」
野球を知っている人の中では有名だ。
ページ上へ戻る