八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十六話 ビロードその四
「海上自衛隊は江田島でね」
「私達も行ったシ」
「陸上自衛隊は久留米で」
福岡県のラーメンが有名な街だ、あと八十年代に活躍したバンドであるチェッカーズもここから出ている。
「航空自衛隊は奈良にあるんだ」
「奈良なノ」
「うん、奈良市にね」
「そうだったのネ」
「奈良県民でも知らない人多いけれど」
「あまり知られてないのネ」
「だって奈良市他に色々な場所あるし」
もうそれこそ行く場所には困らない、それ位だ。
「東大寺とか春日大社とか」
「確かに色々あるわネ」
「そうしたところがあるし」
それにだ。
「結構市街地から離れてるし」
「地味な場所にあるノ」
「うん、県民の人でも知らない人多いんだ」
「江田島とは随分違うわネ」
「江田島は観光地でもあるから」
海軍の伝統がここでも生きているということだ。
「凄く目立ってるけれど」
「航空自衛隊の方は」
「マイナーだよ、奈良市だけじゃなくて奈良県全体で名所多いから」
「あそこ歴史の塊ネ」
「教科書に出て来るところばかりだからね」
飛鳥時代そして奈良時代でだ。
「だからね」
「航空自衛隊についてハ」
「影が薄いんだ」
「航空自衛隊って強いわヨ」
アメリカ人のジューンさんから見てもだ。
「世界屈指の空軍でしョ」
「精強って言われてるね」
「装備がいいし訓練もよくしていテ」
ジョーンさんは僕にさらに話してくれた。
「規律もあって」
「強いんだね」
「実戦経験はないけれド」
幸いにしてこちらの経験はない、このままずっとそのままでいて欲しいというのが僕の偽らざる本音だ。
「強いわよネ」
「戦闘機だけじゃないからね」
航空自衛隊の装備はだ。
「他にも航空機はあるしね、レーダーとかもね」
「充実していテ」
「強いよ、間違いなく」
「けれどなのネ」
「あまりね」
「奈良では影が薄いのネ」
「残念ながらね」
古都奈良にあって場所はいいと航空自衛隊自体は宣伝しているらしい。
「そうなんだ」
「それはまタ」
「制服も恰好いいけれど」
あのダークブルーと白の制服だ、帽子もサンダーバードのあの帽子もある。
「それでもね」
「行く人は少ないノ」
「あそこに行くなら」
奈良市ならだ。
「もうね、東大寺とか」
「春日大社とカ」
「ああした場所に行くから」
あと志賀直哉が関東大震災から避難した時に住んでいた家もある。興福寺もある。
「だからね」
「皆行かないのネ」
「うん、しかも奈良市にあっても」
このことは事実でもだ。
「街から離れてるし」
「それで余計になノ」
「影が薄いんだ」
奈良市の中でだ。
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