八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十六話 ビロードその三
「義務教育は小学校までだったんだ」
「全く違うわネ」
「今とはね」
今の教育の形とはだ。
「違うのは確かだね」
「そうよネ」
「今は中学までが義務教育で」
ここまでは絶対だ。
「高校もほぼ確実だよね」
「まあ皆進学するネ」
「中卒の人もいるけれど」
あと中退する人もだ。
「それでもね」
「少数派よネ」
「それもかなりね」
「大抵の人が高校まで出てるかラ」
「実質高校までが義務教育だけれど」
今の日本の感覚ではだ。
「当時は小学校を出たら就職っていうのがね」
「普通だったノ」
「うん、中学に入る人は稀で」
本当に全体の僅かだったらしい、戦前はずっと。
「高校は大学みたいだったんだ」
「入学する年齢もそうだシ」
「十七歳で中学を卒業するからね」
五年制だからそうなる。
「そうしてだからね」
「実質そうよネ」
「だから実は昔の一高は」
芥川龍之介が無試験で入った高校だ、抜群の秀才だったのでそれで試験は必要ないと判断されてそうなったという。
「今で言う東大なんだ」
「あの大学なノ」
「うん、それでも大学もあったんだ」
大学は大学でだ。
「今で言う大学院だね」
「何か本当に今と違うわネ」
「中学が五年あったしね」
「そこが一番大きいかモ」
「そうかもね、そうした教育になったのは」
それはとだ、僕はジューンさんに話した。
「維新からだよ」
「それからなのネ」
「その維新の頃にこうしようってなって」
「形造られていったのネ」
「徐々にね、その頃に兵学校も出来て」
海軍兵学校だ。
「士官学校も出来たんだ」
「陸軍ネ」
「うん、海軍は兵学校で」
「陸軍が士官学校ネ」
「そうした呼び名なんだ」
「今はどっちもないわネ」
「日本軍が解体されて」
そうしてだ。
「今は自衛隊だけれど」
「自衛隊は防衛大学ネ」
「それでそれぞれの幹部候補生学校があるから」
「江田島は海上自衛隊デ」
「兵学校があった場所をそのまま使ってるんだよね」
あの赤煉瓦の建物をだ。
「あの赤煉瓦の建物は維新の頃じゃないんだ」
「あの頃に建てられてなかったノ」
「後だよ、最初は東京にあったし」
「江田島になかったノ」
「出来て暫くして移転したんだ」
「そうだったのネ」
「陸軍士官学校は東京にあったけれど」
それがだ。
「海軍の方は移転したんだ」
「維新の頃は東京にあったのネ、兵学校ハ」
「うん、そこも違ってたんだ」
「成程ネ」
「ちなみに今は」
僕は現代の話もした。
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