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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十五話 カップルの来店その一

              第二百四十五話  カップルの来店
 クラス、つまりお店に戻るとお客さんが多かった。それでクラスの女の子達は僕が戻って来るとすぐにこう言ってきた。
「いいところに来てくれたわね」
「早速手伝ってくれる?」
「まだ休み時間残ってるけれど」
「それでもね」
「うん、見たところね」
 僕はお店の状況を見て女の子達に答えた。
「随分多いね、列も出来てるし」
「そうなのよ」
 クラスの女の子の一人エミリー=シャーマンさんが言ってきた。生まれはアメリカのコネチカット州で赤毛と青い目が印象的な娘だ。
「さっきからね」
「お客さんが増えたんだ」
「うちのコーヒーが評判らしくて」
「評判って」
 そう聞いてだ、僕はシャーマンさんに首を傾げさせて言った。
「うちのコーヒーインスタントじゃない」
「そのインスタントがよ」
「それがなんだ」
「評判なのよ、美味しいって」
「インスタントコーヒーがなんだ」
 僕は首を傾げさせたまたシャーマンさんに言葉を返した。
「そうなんだ」
「お客さん留学生の子多いでしょ」
「そういえば」
 見ればその通りだった、白人や黒人の人が多い。
「そうだね」
「インスタントコーヒー自体は飲んでいても」
「日本のとか?」
「日本のインスタントコーヒーはね」
 これはとだ、シャーマンさんはさらに言った。
「味が違うのよ」
「そんなに美味しいんだ」
「確か元々日本人の発明でしょ」
「そうみたいだね」
 このことは僕も聞いている。
「インスタントラーメンと並んで」
「それでうちのクラスが使っているのは」
 そのインスタントコーヒーはというのだ。
「八条グループのでしょ」
「うん、八条製茶のね」
 茶とあるがコーヒーも扱っている企業だ。
「そこのお茶でね」
「それでよね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「あのメーカーの最新のだけれど」
「それが随分と美味しいってね」
「評判でなんだ」
「お客さんが増えたのよ」
「そうだったんだね」
「そうなのよ、それで」
 シャーマンさんはこうも言った。
「安いしね」
「そのこともあってだね」
「安くて美味しいコーヒーが飲めるなら」
 それならというのだ。
「悪いことはないでしょ」
「確かにね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「実は値下げもしたし」
「値下げ?」
「これまで百円だったのを」
 それをというのだ。
「九十円にしたから」
「何時の間に値下げしたのかな」
「義和がいない間によ」
 その時にというのだ。
「百円ってちょっと高くないってね」
「普通だと思うけれど」
「だってコーヒーの素を入れて」
 そうしてというのだ。 
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