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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十四話 ガジュマルの木の傍でその十三

「そっちでね」
「貰うんだね」
「そうするわ、しかしね」
「しかし?」
「いや、あたしがまさかよ」
 美沙さんは笑って僕にこうも言った。
「誰かと付き合うなんてね」
「考えていなかったんだ」
「そうなればって思っていたけれど」
 それでもというのだ。
「まさかそうなるなんて」
「思っていなかったんだ」
「そうよ、本当にね」
「そうだったんだ、けれどね」
「けれど?」
「誰だって誰かと付き合える可能性はあるし」
 美沙さんに顔を向けて微笑んで話した。
「付き合ってもね」
「いいのね」
「自分が交際したらいけないとか思うことは」
 失恋してそこから散々な目に遭うとこう思う人もいるらしい。
「間違ってるってね」
「義和は思ってるのね」
「人は誰だって恋愛をすることが出来る」
 美沙さんにこの言葉を話した。
「親父がいつも言ってるんだ」
「ああ、あの人が」
「うん、自分が恋愛を楽しむことは分不相応とか」
 こう思うことはだ。
「よくないってね。それは卑屈だってね」
「卑屈になるのね」
「そう、だからね」
 それでとだ、美沙さんにさらに話した。
「美沙さんもね」
「恋愛をしていいのね」
「それで皺背になってもね」
「いいのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「幸せにね」
「そう言ってくれるのね、じゃあ」
 美沙さんは僕に笑顔で応えてくれた。
「キジムナーにお供えをして」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「幸せになるわね」
「頑張ってね」
 僕も笑顔になった、そして美沙さんは僕と別れた後食堂に向かった。僕はガジュマルの木の前を後にして自分のクラスに戻った。


第二百四十四話   完


                  2019・7・15 
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