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八条学園騒動記

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第五百三十一話 二人だけとなりその六

「統一してすぐに」
「とんでもないことになりましたね」
「皇后とその一族の専横にですね」
「そこから内乱が起きましたね」
「何か随分とわかりにくい」
 マリアも困った顔で話した。
「世界史の先生も説明に困るという」
「八王の乱ですね」
「物凄くわかりにくい乱ですね」
「あの乱はもう」
 晋の皇族同士の権力闘争だ、彼等は武力も用いたので結果戦乱まで引き起こり多くの血が流れたのだ。
「建国間もない国を破壊した」
「そうしたものでしたね」
「これから国の土台造りをすべき時に」
 まさにその時にだ。
「大規模な内乱が起こり」
「それで、でしたね」
「本当に無駄に血が流れ」
「街も何もかもが破壊されて」
「そしてでした」
 その結果というのだ。
「国は荒廃して」
「どうにもでしたね」
「ならなくなりました、異民族も侵攻してきて」
 これを五胡という、中国の北部や西部の異民族が晋の荒廃を見てこれを機に侵攻してきたのである。
「そしてです」
「その結果ですね」
「皇帝も遷都をして」
「難をですね」
「逃れようとしたのですが」
 それがというのだ。
「出来ない位です」
「力が衰えていましたか」
「はい、逃げるにも」
 そうするにもというのだ。
「人は体力が必要ですね」
「少なくとも歩く位は出来ないと」
「はい、動けないと」
 そうした状況ならというのだ。
「逃げられないですね」
「そうですね」
「車の運転も出来ないと」
 トラップはこうも言った。
「どうにもならないですが」
「それすらも出来ない位にですか」
「当時の晋は衰えていて」
 都の洛陽ですら飢餓状態にあり宮中でも殺人や強盗が横行していたという。
「ですから」
「皇帝も逃げられなかったのですね」
「何しろ都を守る兵もいませんでした」
 先に異民族との戦いで皆殺しにされていたのだ。
「これといった人物もです」
「いなくなっていたのですね」
「そうした状況にもなっていて」
「西晋は滅んだのですね」
「はい、若しおかしな政府を選べば」
「最悪ですね」
「そこまでなります」
 皇帝、つまり国家元首が避難出来ず深刻な飢餓状態に陥るまでというのだ。
「あくまで極端な例ですが」
「それでもですね」
「国や自治政府が傾くことは」
 そうしたレベルはというのだ。
「ありますね」
「はい、確かに」
「ですから」
 それでというのだ。
「政府はです」
「しっかりと選ぶべきですね」
「そしてです」
「おかしな政権を選んでも」
「それでもです」
 例えそうしてもというのだ。 
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