八条学園騒動記
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第五百三十一話 二人だけとなりその三
「まさに最高級の錦鯉で」
「では模様も」
「大きさもです」
模様だけでなくというのだ。
「こちらもです」
「立派なのですね」
「そうです、そして」
それでというのだ。
「数も多いです」
「そこまでの鯉が揃うのですね」
「日本の皇室の社です」
このことが大きいというのだ。
「連合第三位の大国ですし」
「四千年の歴史を持つお家ですね」
「しかも皇帝なのですか」
格としはそれになるというのだ。
「ですから」
「それだけにですか」
「はい、全て寄進ですが」
その鯉達がどうして大社に入ったかというのだ。
「寄進する人達もです」
「皇室へとなるので」
「もうです」
「とびきりの鯉となるのですね」
「日本では資産家の人達がよく飼っています」
その鯉達をだ。
「お庭に」
「この様にですね」
「はい、八条家でもです」
「学園を経営されている」
「あのお家の総帥さんとなりますと」
「理事長さんのお父さんですね」
「あの方のお屋敷は」
御殿、宮殿とさえ言われている。八条家の本宅でありその大きさはベルサイユ宮殿さえ超えている。
「非常に素晴らしい日本のお屋敷で」
「それでお庭もですか」
「素晴らしくて」
それでというのだ。
「鯉もでしょう」
「多くの鯉がいるのですね」
「見事な錦鯉達が」
「そうなのですね」
「はい、それと錦鯉は」
トラップはマリアにこの鯉についてさらに話した。
「食べるにはです」
「鯉でもですね」
「食べたことはないですが」
それでもというのだ。
「普通の鯉より美味しくないかと」
「そうですか」
「そして」
さらに言うのだった。
「やはり普通の鯉の方がです」
「美味しくて」
「しかも遥かに安いです」
「普通の鯉、食用ですと」
「本当に安いですね」
「錦鯉と比べますと」
「千倍は違います、いや」
トラップは考えつつ自分の言葉をこう訂正した。
「何千倍ですね」
「そこまでですね」
「違いますね」
「何千倍ともなると」
「本当に全く違いますね」
「ですから」
「食べるならです」
一択、そう言っていい言葉だった。
「普通の鯉に限りますね、といいますか」
「と、いいますか?」
「錦鯉を食べる人はいないですね」
現実問題として、というのだ。
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