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夢幻水滸伝

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第百七話 若草山にてその六

「お互いに警戒して」
「それでね」
「知っていてもですね」
「話さないわよ」
「そうですね」
「そこまで頭の弱い子はね」
 流石にとだ、アレンカールは言うのだった。
「星の子ではいないわね」
「そうですね」
「皆それなりの頭があるみたいだから」
 それ故にというのだ。
「漏らさないわね」
「そうですね」
「ええ、本当に」
 実際にというのだ。
「まあそれならね」
「仕方ないですね」
「こうしたことはね」
「今は敵同士なら」
 それならとだ、非常に整った顔立ちで金髪に赤い目、白い肌のヴァンパイアの少女が言ってきた。着ている服はアフリカのシャーマンの服だが露出はほぼない。地俊星ニャメ=ビテックである。ウガンダ出身で職業は巫女持っている神具は己の知力そして政治力を高めてくれるコンスのネックレスと直接攻撃も術の攻撃も防いでくれるイシスのネックレスである。
「腹のうちは見せないことが」
「常識でしょ」
「はい、若しくは」
「漏らす振りをしてね」
「嘘を言う」
「外交はそうしたものでしょ」
「はい」
 交渉人のカマンダもその通りと答える。
「いいか悪いかは別にして」
「そう、そうして相手を騙してもね」
「利益を得るものですね」
「だからね」
「今もですね」
「嘘を言ったり」
 そうした場合もありと言うのだった。
「隠したりね」
「そうしたことは」
「普通ね」
「はい、副芸もです」
 それもまた、とだ。カマンダはアレンカールに述べた。
「当然のことです」
「そうよね」
「ただ、私としましては」
 カマンダはどうかという顔でこうも言うのだった。
「戦、武力を用いての戦は」
「好まないわね」
「私はサプールなので」
 それ故にというのだ。
「ですから」
「そうよね、サプールはね」
「暴力は問題外であり」
「武力もね」
「好ましくないと考えているので」
「そのファッションは平和主義の証だから」
「はい、ですから」
 カマンダは確かな声でアレンカールに答えた。
「私はです」
「戦は好きではないわね」
「今回も出来るなら」
「戦にならずね」
「そうお話をまとめられれば」
「ええ、けれどね」
「今は仕方あらへんやろ」
 ここで言ったのは天狗賊で特殊部隊の服とブーツを身に着けた男だった。地妖星ウングラニ=ホンワナである。モザンビーク出身で職業はスパイである。持っている神具は四本の長い爪の武器セベクの牙とアーミーナイフのバステトの爪だ。
「自分かて戦にならんでな」
「ことを済めば」
「よかったけどな」 
 ホンワナはカマンダに述べた。
「けどな」
「この世界でもですね」
「戦はあってな」
「今の私達は」
「戦をせんと」
 さもないと、というのだ。 
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