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夢幻水滸伝

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第百七話 若草山にてその五

「統一もしやすいですし」
「そしてそのこともだな」
「はい」
 アチェベは吉川に答えた。
「誰かが僕達の前に治めてた」
「世界を統一したうえでな」
「その根拠になるかと」
「そうだな、しかし何らかの理由で多くの勢力に分かれていたな」
「そうですね、この世界は」
「おそらく統一した者がいなくなりだ」
 そうしてとだ、吉川も自身の推察を述べた。
「要がなくなりな」
「やがて分裂していき」
「今に至る」
「それがこの世界の現状ですね」
「そうだな、そしてだ」
「この世界に危機が訪れている」
 こうもだ、アチェベは言った。
「左様ですね」
「そうかも知れない、確かなことはまだわからないが」
「その可能性はありますね」
「貨幣も言語も度量衡も同じだ」
 勿論使っている文字もだ。
「そしてどの地域もある程度インフラ等が出来ている」
「それも合理的にね」
 アレンカールがここでまた言ってきた。
「それならね」
「そう思っていていいな」
「あたいもそう考えるわ」
 まさにと言うのだった。
「そしてもう一度ね」
「この世界はだな」
「一つになるわね」
「そうだな」
 確かな顔でだ、吉川は頷いた。
「私達の手によってな」
「太平洋でこれから行われる戦も」
 ゴーディマーは確かな顔で述べた。
「その一環だしな」
「その覇者が誰になるかはわからへんにしても」
 今度はシャーデーが言った。
「統一されるのは間違いない」
「そや」
 ゴーディマーはシャーデーのその言葉に頷いた。
「今その話をここでしてるしな」
「お話はまとまりそうよ」
 アレンカールは神星の者として話した。
「一戦でね」
「終わらせる」
「各勢力の戦を」
「そう、負けた勢力はその時点で離脱よ」
 そうなるというのだ。
「そしてね」
「そのうえでやな」
「最後に勝ち残った勢力が覇者となる」
「太平洋の中心になってね」
 そしてと言うのだった。
「そうなるわ」
「そうですね」
「その用意もしてるし」
「はい、それは」
「まあお互いでしょうけれどね」
 アレンカールは考える顔になってこうも述べた。
「それは」
「どの勢力も」
 スケルトンのイスラム風の赤と青の服を着た男が言ってきた、地退星アラフーム=クッツェーである。南アフリカ出身で職業は神官である。所持している神具は炎を操るヴァジェトの杖と己の知力を高めてくれるクドシュの冠である。
「そうでしょうね」
「ええ、誰も漏らさないけれどね」
「流石に親睦を深めていっていても」
「そしてやがて味方同士になるけれど」
「今は敵同士ですから」
 だからだというのだ。 
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