八条学園騒動記
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第五百三十話 考古学その十二
「ですが考古学といっても」
「非常にです」
これはというのだ。
「面白いです」
「そうなのですね」
「千年前も、ただ」
「ただといいますと」
「千年前なら考古学ですが」
ここでトラップはマリアにこうしたことも話した。
「それ以降はどうも」
「考古学ではないですか」
「歴史が新しいと」
そうなると、というのだ。
「考古学というよりは」
「他の学問になりますね」
「民俗学でしょうか」
この学問ではないかというのだ。
「むしろ」
「そうですか」
「はい、民俗学のコーナーもありますが」
この博物館にはそちらのコーナーもある、それでかなり豊富な飼料や文献が揃えられてもいて見応えもある。
「そちらは私は専門外で」
「だからですか」
「あまり詳しくはないです」
マリアにこのことを断った。
「民俗学も面白いですが」
「妖怪や都市伝説のこともですね」
「そうです、妖怪のコーナーもありますね」
博物館にはというのだ。
「そうですね」
「そうですね、連合中の妖怪のことが」
「調べられてです」
「資料として存在していますね」
「ですがそちらはですか」
「私は専門外でして」
それでというのです。
「詳しくはないです」
「そうなのですね」
「ですから」
「そちらについては」
「詳しいことは言えません」
専門外だからだというのだ。
「申し訳ないですが」
「いえ、申し訳なくは」
「ないですか」
「はい」
マリアは微笑み赤ワインを一口飲んでから答えた。
「特に」
「そう言って頂けると何よりです」
「それではです」
ここで先生もまた言った。
「後はお若い人達同士で」
「お話をですか」
「されて下さい」
「それでは」
トラップが応えてだった、先生と奥さんは席を立った。そうして後に残ったのはその若い二人だけとなった。
考古学 完
2019・7・2
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