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八条学園騒動記

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第五百三十話 考古学その七

「そしてお互いの交流もです」
「ありませんでしたね」
「当時の地球において」
「そうでしたね」
「ですが生贄はです」
 中南米の代名詞であるこの風習はというのだ。
「どちらもありまして」
「それであの髑髏は」
「生贄とですか」
「関係があったのでしょうか」
「実はその辺りは」
 どうかとだ、トラップはマリアに真面目なそれこそ学問を語る時の学者の顔になってそのうえで話をした。
「まだです」
「よくわかっていませんか」
「はい、ですが信仰とはです」
 当時のアステカのだ。
「関係があったことはです」
「このこと自体はですか」
「間違いないとです」
 その様にというのだ。
「考えられています」
「そうですか」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「生贄の首を切ることも」
「していましたか」
「神への儀式の中で」
「心臓を取るだけでなく」
「その生贄の捧げ方は」
 それはというのだ。
「実にです」
「多かったのですね」
「それで首を切ることもです」
 この生贄の捧げ方もというのだ。
「していまして」
「ではあの髑髏も」
「それと関係があるともです」
「考えられるのですね」
「そうした説もあります、アステカの信仰も」
 神々へのそれもというのだ。
「何かとです」
「生贄を捧げていましたね」
「インカとそこは同じで」
 それでというのだ。
「あの髑髏もそれと関係があってもです」
「不思議ではないですね」
「そうかと。あれだけのものを造り出した才能も見事ですが」
「技術もですね」
「凄いものですが」
 それだけでなくとだ、トラップはマリアにさらに話した。
「あれだけのものを造る目的は」
「それが謎ですね」
「造るには目的があります」
 これは絶対にというのだ。
「何の目的もなくです」
「何かを造ることはないですね」
「芸術なら芸術で」
「それが目的ですし、あの髑髏はその説もあります」
 芸術品であるとだ。
「実は」
「確かに。芸術品と考えても」
「それもあるとですね」
「考えられますね」
「はい」
 トラップはマリアに答えた。
「その可能性も」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「芸術と宗教は」
 この二つはというのだ。
「密接な関係にあります」
「それはそうですね」
「宗教に捧げる」
「芸術を」
「そうした一面もありますし」
「キリスト教でも同じですね」
 マリアは先生を見つつトラップに応えた。 
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