八条学園騒動記
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第五百三十話 考古学その五
「侵略した時にです」
「徹底的に破壊しましたね」
「その為長い間研究が進まず」
「研究は困難を極めましたね」
「彼等は文字を持たなかったですが」
縄を結んでそれを文字の代わりにしていたのだ。
「そのこともありますが」
「文字、つまり文献がなかったからですね」
「研究はその分困難でしたが」
「それを抜いてもですね」
「はい」
トラップはマリアに話した。
「それを抜いてもです」
「彼等の破壊行為があり」
「それがあまりにも徹底していたので」
「中々真の姿がわかりませんでしたね」
「キリスト教の価値観に合わないと」
「当時の彼等が言って」
「そしてでした」
その結果だったというのだ。
「中南米の文明のことは」
「研究が困難でしたね」
「彼等は文明も破壊しました」
中南米、この地域でというのだ。
「主にスペインが」
「あの国でしたね」
「中南米は、しかも文明を破壊しただけでなく」
「その統治もですね」
「非常に過酷かつ残虐で」
連合ではその部分がクローズアップされしかもかなり誇張して言われている、それこそ尾鰭を付けてだ。
「この世のものとは思えない」
「そこまで酷かったですね」
「それで学園の博物館にあるものも」
それもというのだ。
「限られています」
「そうですね」
「はい、少なくて」
それでというのだ。
「集めるのに苦労したそうですが」
「それでも少ないですね」
「館長のお言葉では」
博物館の責任者の、というのだ。
「今の三倍はです」
「アステカやインカのものを」
「揃えたかったそうですが」
「揃わなかったのですね」
「はい」
そうだったというのだ。
「これが」
「そうでしたか」
「はい、そして」
それにと言うのだった。
「今も集めていますが」
「集まらないのですね」
「そうです。まことに残念なことに」
「あそこまで破壊しては」
先生も言うことだった。
「今連合にあるだけが残っていても」
「奇跡ですね」
「博物館には水晶の髑髏もありますね」
先生はトラップにこの話もした。
「そうですね」
「はい、あれですね」
「あれも中南米のものですが」
「古代アステカ文明のもので」
「あちらのものですか」
「おそらく宗教的な目的で」
それでというのだ。
「造られたと言われていますが」
「それでもですね」
「あれもです」
「中南米の遺物であり」
「非常に価値があるものです」
「そうですね」
「中には偽物やレプリカもあります」
「今の時ぢ亜の技術なら造られますね」
先生はこの話もした。
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