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八条学園騒動記

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第五百三十話 考古学その四

「しかし」
「それでもですね」
「他の国ではです」
「宗教に関係なくですね」
「その国の市民になることが出来」
 そしてというのだ。
「そのうえで」
「宗教の対立はないですから」
「エウロパとは違いますね」
 尚エウロパでも宗教対立はないがマリアも先生も今はそうしたことは半ば無視してそのうえで語っている。
「連合は」
「そうです、宗教で争うなぞ」
「あってはならないですね」
「全くです、カトリックでもプロテスタントでも」
 トラップも言ってきた。
「同じ神です」
「キリスト教の神ですね」
「その神を信じているではないですか」
 こうマリアに言うのだった。
「それならです」
「争っては」
「誰が一番悲しむのか」
「神ですね」
「自分を信じる者達が争うのです」
 そして殺し合うというのだ。
「それでどうして悲しまずにいられるか」
「その通りですね」
「エウロパ人達はそのことすらわからず」
「長い間ですね」
「愚かに殺し合い」
 そしてというのだ。
「他宗教にもです」
「攻撃を行って」
「奴隷にしたりもです」
 連合で最も許されない行為の一つであ奴隷化もというのだ。
「したのですから」
「愚の骨頂ですね」
「極みです」 
 トラップはこうも言った。
「何といっても」
「確かに。愚の極みですね」
 マリアはトラップのその言葉に心から同意して頷いた。
「同じキリスト教徒、そして宗教が違うだけで」
「争うなぞですね」
「ましてや一方的に殺すなぞ」
「自分より弱いと見ると」
「もうそれは人ではなく」
 トラップはこれ以上はないまでの批判の言葉を出した。
「外道です」
「その行いですね」
「はい」
 まさにとだ、トラップはマリアに答えた。
「私はそう思います」
「連合では本当に考えられないですね」
「宗教が違うだけで殺し合うことも」
 それにというのだ。
「生きものを食べる以外の目的で殺し」
「そして絶滅させるなぞ」
「有り得ないことで」
「想像も出来ないですね」
「まことに」
「そうしたことがわからないと」
 先生がここでまた話した。
「人ではないですね」
「そうですね」
「本当に」
 見合いの二人の言葉だった。
「そのことは」
「全く以て」
「思えばですよね」
 マリアがここでこうも言った。
「中南米の文明も」
「アステカやインカのですね」
「あの文明も」
「はい、エウロパ人達がです」
 その彼等がというのだ。 
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