八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十一話 お茶の後でその十
「そうした人のことばかりですと」
「そうですよね」
「ですが」
「はい、立派な人も思いますと」
「確かに快くなりますね」
「最低な人のことは思うだけで嫌になりますが」
今念頭にある面々だけではない、世の中は下には下がいるというけれど最低な人間もそれぞれの種類がいる。
そうした人達のことは思うだけでも腹が立つけれどだ。
「それでもです」
「立派な人のことを思うと」
「その人のことに憧れて」
「かくあらんと思うので」
「そう思うだけで心が上向いて」
そうなってだ。
「いいと思います」
「だから両方ですね」
「見ていますと」
「嫌な思いだけせずに済むので」
「いいと思います、むしろ」
僕は早百合さんにさらに話した。
「もう一つ思うことは」
「それは」
「立派な人のことを七割で」
僕は割合のことも話した。
「嫌な人のことは三割で」
「それ位ですか」
「これは畑中さんならそう言われるかなと」
「そう思ってですか」
「言ってますけれど」
あの人ならと思う、ここで僕はどうも畑中さんを尊敬しているのだと思った。実際に素晴らしい人だと思った。
「畑中さんを見ますと」
「それならですね」
「僕もあの人みたいになろうと」
「思いますか」
「はい、ただ先輩が今お話している」
「人を平気で裏切る様な人達には」
「絶対にです」
それこそだ。
「なりたくないです」
「まさに義和さんが今言われた通りですね」
「はい、そして」
そのうえでだ。
「畑中さんのことは七割で」
「陸上部の嫌われ者の」
「その人達のことは三割でいこうかなって思っています」
意識することはだ。
「人間いいことばかり見ても」
「よくないですね」
「バランスが大事ですからね」
これはどうしてもだ。
「いい人も見て」
「悪い人もですね」
「見て」
まさにそうしてだ。
「人はです」
「バランスも大事ですね」
「そうだと思います、悪い人ばかりに出会ってその人達を反面教師にしても」
それでいい人になってもだ。
「暗いでしょうしね」
「ああはなるまい、ああしてはいけないと思うばかりで」
「絶対に暗くなりますから」
反面教師はマイナスの存在だ、そうした人達のことを思うとどうしてもマイナスの勘定になってしまう。
「七割はです」
「いい人達ですね」
「その人達のことも思って」
そうしてだ。
「ああなろう、ああしようって」
「そう思えばですね」
「いいと思います、例えばワレンバーグさんやキング牧師を知って」
どちらも偉大な人達だと思う、人間の美しい部分を人々に見せてくれた。
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