八条学園騒動記
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第五百二十九話 お見合い当日その十三
「許せないことです」
「まことにそうですね」
「犬は立派な生きものであり」
「人を狩って殺すことに利用しては」
「言語道断です」
トラップは心から言い切った。
「彼等は猫を悪魔の使いだと言って殺しもしましたし」
「そしてペストが流行りましたね」
鼠を捕まえる猫を殺してはそうなるのも当然だった、ペストは鼠に付いているペスト菌から起こるものだからだ。
「そうでしたね」
「そうでした」
「そして他にも地球にいる多くの生物達も絶滅させていますし」
「クァッガやオオウミガラスを」
こうした生きもの達もというのだ。
「そうしましたね」
「実に愚かなことに」
「その愚かさは」
まさにというのだ。
「人類の歴史に残る汚点です」
「若しかして」
トラップはこうも言った。
「彼等は主を絶滅させることにです」
「生きがいをですか」
「感じていたのでは」
「破壊願望があってですね」
「はい、自分達以外の人間や生物の種をです」
「絶滅させる様なですか」
「趣味があったのでは」
トラップはエウロパ人達についてこうも言った。
「そうではないでしょうか」
「そうですね、貴方のご指摘は」
まさにとだ、先生も彼の言葉に賛同して頷いて述べた。
「間違っていないかも知れないですね」
「エウロパ人の行いを見れば」
「無抵抗な生物でもです」
「ステラーカイギュウの様な」
非常に温和で戦うことも逃げることもしなかった、傷付いた仲間を助け寄り添う習性もありそこも狙われた。
「そうした生物もですから」
「エウロパ人は遺伝子的にサディストで」
連合ではよく言われていることである、尚これも連合側からのエウロパへの偏見の一つであるが彼等は気付いていない。
「そうしてです」
「キリスト教徒以外を殺戮し」
「弾圧も行って」
「そして生物を絶滅させる」
「そうした行いをする遺伝子がです」
まさにというのだ。
「中に存在していて」
「そうした行いを繰り返す」
「そうかも知れないですね」
「吐き気を催すことに」
こう言ってだった。
先生はステーキを食べた、ビーフステーキのそれを食べてまた言った。
「我々は食べますが」
「それでもですね」
「そうした風に生物は殺しません」
「それが連合ですね」
トラップもステーキを食べつつ先生に応えた。
「愚行で種を滅ぼさない」
「それが我々です」
「まことに。博物館を見ても」
「それがわかりますね」
「はい」
こう先生に答えてだ、彼はステーキをまた食べた。そうして今度はマリアに対して笑顔でこんなことを言ったのだった。
お見合い当日 完
2019・6・24
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