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八条学園騒動記

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第五百二十九話 お見合い当日その十二

「ですがこうした差異はです」
「個人の努力で何でもなれますね」
「そうです、ですから」
「人種や民族の差異は」
「国でも」
 こちらでもというのだ。
「実はです」
「ありませんね」
「はい」
 そうだというのだ。
「これが」
「左様ですね」
「所詮です」
 まさにとだ、先生はマリアにさらに話した。
「白人至上主義は妄想に過ぎなかったのです」
「エウロパから出た」
「産業革命から二十世紀の繁栄までの」
「あの地域の黄金時代ですね」
「その時に生まれた」
 まさにという口調での言葉だった。
「妄想だったのです」
「科学的根拠のない」
「そうしたものだったとです」
「先生はお考えですね」
「ナチスは特に言っていましたが」
 アーリア人至上主義を掲げてだ、尚ナチスは人種主義で知られるがこの時代では社会主義政策も指摘されている。
「その実はです」
「何の科学的根拠もなくて」
「妄想に過ぎないのです」
 先生はまたこう言った。
「所詮は」
「そうですね」
「はい、そしてダーウィンもキリスト教も」
「エウロパ人の手にかかると」
「とんでもないものになります」
 ここではダーウィンの思想がイギリスつまりエウロパの一国から出ていることはスルーされている。
「残念なことに」
「あの国は曲解が得意ということですね」
「そうですね、そしてです」
「キリスト教はですね」
「弾圧や迫害、虐殺の道具になり」
「奴隷制にもですね」
「使われたのです」
 先生は苦い顔で話した、好物のステーキを食べつつもそうなっている。
「そしてです」
「豊臣秀吉も徳川幕府も」
「それに徹底的に反対してです」
「キリスト教の布教すら禁じましたね」
「民を奴隷にされそこから」
 秀吉も幕府も危惧したのだ、それも本気で。
「日本自体もです」
「奪われることをですね」
「警戒して、そしてです」
「実際にですね」
「彼等はそれを狙っていました」
 スペインやポルトガルの宣教師達はというのだ。
「真面目に布教を考えていた人もいましたが」
「奴隷で儲けたり侵略もですね」
「それが彼等の常でしたし」
 十字軍や植民地統治でというのだ。
「中南米では実際に」
「侵略に使われて」
「現地の人達が奴隷になりました」
 即ちインディオ達がというのだ。
「そして銀山やプランテーションで酷使され」
「多くの人が死にましたね」
「人間狩りまでしていました」
 そうして奴隷を調達していたのだ。
「特別に訓練した犬まで使って」
「人を狩り立てる」
「そうして人を襲わせて殺してもいました」
「犬をそう使うことは」
 トラップが怒気を隠しつつ応えてきた。 
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