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八条学園騒動記

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第五百二十九話 お見合い当日その十

「民を奴隷にさせない為に」
「キリスト教を禁じたのでしたね」
「そしてです」
 先生はさらに言った。
「その結果です、スペインやポルトガルとは」
「国交すらでしたね」
「なくしました」
 この時代で言うと国交断絶となる。
「そして鎖国すらです」
「行ってそうして」
「民を奴隷にしませんでした」
「かなり強烈な奴隷制反対ですね」
 トラップは唸ってこうまで言った。
「国交断絶までするとは」
「本当に徹底していますね」
「そこまで徹底して」
 そのうえでだったのだ。
「当時の日本は民を守り」
「奴隷制度に反対していましたね」
「行動すら伴って」
「素晴らしいことですね」
「はい、当時の日本の最大の国益は」
 それはというと。
「民を守ることだったということですね」
「その時代では領民ですね」
「領民、今で言う市民を護らないのでは」
「国家としてですね」
「失格ですが」
 それでもと言うのだった。
「当時の日本、豊臣政権も徳川幕府も」
「しっかりとですね」
「民を護りました、そして」
「そうしてでしたね」
「キリスト教を禁止しました」
「そこも大事ですね」
「はい、ただ」
 ここで先生は暗い顔になってこうも言った。
「私はキリスト教はカトリックなので」
「悪事に利用されたことは」
「非常に残念に思っています」
「スペインやポルトガルにですね」
「エウロパ人の手にかかると素晴らしい教えも」
 キリスト教、カトリックのそれもというのだ。
「邪教の様になり」
「奴隷制や植民地統治に利用され」
「虐殺にもです」
 これにもというのだ。
「使われましたね」
「十字軍もそうでしたね」
「サン=バルテルミーの虐殺も」
 フランスで起こった事件だ、国内のカトリックとプロテスタントの対立から起こりプトテスタントだけでなく多くの者が巻き込まれている。
「怒りましたし」
「とかくでしたね」
「エウロパでは」
「素晴らしい教えも」
「邪教の様になってしまうので」
 それでというのだ。
「残念に思っています」
「エウロパでは全てがそうなりますね」
 トラップは先生に険しい声で応じた。
「まさに」
「はい、ダーウィンの思想も」
「人種論になり」
「そこからでした」
 健全な科学もというのだ。 
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