| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百二十九話 お見合い当日その九

「紹介されています」
「左様ですね」
「奴隷制のことも」
 それもというのだ。
「博物館ではコーナーがあって」
「人類の負の遺産ですね」
「奴隷はあってはならない」
 トラップは連合建国からの価値観を口にした。
「そしてそれに行動で反対した」
「豊臣秀吉のことはですね」
「奴隷制のコーナーでも触れられていて」
「日本のコーナーのですね」
「豊臣秀吉のところでも」
「紹介されていますね」
「はい、そして後の江戸時代でも」
 徳川幕府もというのだ。
「奴隷はなかったです」
「被差別階級はあっても」
「奴隷ではなかったので」
 確かに身分は低かったがだ。
「そして民を奴隷にさせない為に」
「江戸時代はキリスト教を禁じていましたね」
「宣教師達が民を売り飛ばして奴隷にするので」
 豊臣秀吉はこのことを知り仰天しかつ激怒して民達を救うと共に切支丹を禁じたのだ、これを当時彼の側近だった徳川家康が知らなかった筈がない。
「それで、でしたね」
「徳川幕府も」
「やり過ぎだったとも言われていますが」
 こうした批判はキリスト教側から出ている。
「民を奴隷にしては」
「絶対にいけないですから」
「それで、でしたね」
「豊臣秀吉は奴隷制度に行動で反対しました」
「そう思いますと」
 マリアもここまでこの話を聞いて言った。
「豊臣秀吉は素晴らしい人ですね」
「そうですね」
 トラップもマリアに笑顔で応えた。
「まことに」
「ただ農民から天下人になっただけでなく」
「奴隷制度にも反対し実際に多くの人を救って」
 そしてだったのだ。
「以後もですね」
「奴隷を出させなかった」
「素晴らしいことですね」
「そもそも日本では」
「奴隷はなかったですね」
「弥生時代の頃はありましたが」
「それでもだったのですね」
 マリアはさらに問うた。
「すぐに廃止されたのですね」
「歴史のかなり初期に」
「そして、ですね」
「以後です」
 日本ではだ。
「間違いなく制度的には」
「奴隷はなかったですね」
「はい」
 このことは歴史的にはっきりわかっている。
「歴史の初期から」
「そして戦国時代でも」
「戦乱の時代でしたが」
 それでもだったのだ。
「奴隷はです」
「存在しなくて」
「そしてです」
「豊臣秀吉もまた」
「奴隷制度は発想の外にあり」
 天下を治めるその中でだ。
「そしてです」
「スペインやポルトガルの悪事に怒り」
「売り飛ばされていた人達を買い戻し」
 そうして助け出してだ。
「キリスト教の布教を禁止した」
「そこまでしましたね」
「それは江戸時代も同じで」
 徳川家康からのことである。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧