八条学園騒動記
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第五百二十九話 お見合い当日その七
鮭のカルパッチョが出てだ、マリアは笑顔で言った。
「実は私は鮭が好きでして」
「カルパッチョもですか」
「はい、大好きで」
それでというのだ。
「今出て来てです」
「嬉しいのですね」
「とても」
「このお店はステーキが有名ですが」
仲人の先生も言ってきた。
「魚介類もです」
「いいのですね」
「はい」
そうだというのだ。
「ですからこのカルパッチョもです」
「美味しいですか」
「先程の皿だとスープもよかったですが」
スープはシチューと言っていいまでに野菜が多く入ったアイルランド風のスープだった、アイルランドはエウロパではイギリスと同じかそれ以上に食文化が言われる国であるがこのスープは実に美味かった。
「しかし」
「魚介類のお料理もですか」
「何しろ傍に海があり」
そしてというのだ。
「素晴らしい漁港があるので」
「だからですね」
「この街はお寿司屋さんもいいお店がありまして」
先生は上機嫌でさらに話した。
「居酒屋に行きましても」
「シーフードがですか」
「特に和食のそれが」
「いいのですね」
「お寿司だけでなくお刺身や天婦羅も」
そうした居酒屋でよく食べられるものもというのだ。
「素敵な味です」
「そうなのですか」
「特に串カツでいいお店があります」
「串カツといいますと」
「そちらは」
マリアもトラップも言ってきた。
「豚肉ですよね」
「それか牛肉ですよね」
「いえ、この街ではです」
魚介類のいいこの街ではというのだ。
「鱚や海老、烏賊や蛸や貝がいい」
「そうしたお店もあるのですか」
「串カツ屋さんに」
「豊臣というお店です」
先生は二人に店の名前も話した。
「覚えておいて下さい」
「豊臣といいますと」
その店の名前を聞いてだった、マリアはすぐに言った。
「確か」
「はい、豊臣秀吉ですね」
「日本の英雄の一人ですね」
「一介の農民から身を起こし」
このことはこの時代でも言われていることだ、連合全体でサクセスストーリーの一つとして持て囃されている。
「日本を統一してです」
「その統治者となった人ですね」
「そうです」
まさにとだ、先生はマリアに笑顔で答えた。
「あの人は地球の大阪に拠点を置いたのですが」
「串カツはですか」
「元々その大阪の料理で」
「今は摂津星系の名物ですね」
「そうなっていますが元々はです」
「地球の大阪の名物で」
「その大阪といえば」
まさにというのだ。
「豊臣秀吉でして」
「だからそうしたお店の名前ですか」
「お店の人がサイトで書いています」
「そうなのですね」
「豊臣秀吉の時代串カツはなかったですが」
二十世紀からの食べものである。
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