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八条学園騒動記

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第五百二十九話 お見合い当日その六

「ですから」
「多くの陰謀や虐殺に関わっていますね」
「人を人と思わない」
「ヒトラーの後継者もですね」
「狙っていたとか」 
 極めて権力志向の強い人物だったとされている、そして忠誠心や友情という感情を持たなかったとも言われている。
「そうした人間離れした」
「恐ろしい人間でしたね」
「その人間と同じ名前になるので」
 だからだったというのだ。
「私にです」
「トリスタンという名前は授けられなかったですか」
「ジークフリートにしたとのことです」
「そうでしたか」
「それにエウロパの者になりますが」
 それでもというのだ。
「ジークフリート=ワーグナーはいい人だったそうです」
「そうだったのですか」
「ワーグナーの息子でしたが」 
 とかく人格では色々問題のあった人物だった、金銭でも女性でも碌でもない逸話を残していることでも有名だ。
「人格円満で温和で」
「それで、ですか」
「非常にいい人だったとのことです」
「それで、ですか」
「私にです」
「その人の名前ということもあって」
「授けてくれました」
 こうマリアに話した。
「そして私自身です」
「そのお名前をですか」
「気に入っています」
 マリアに笑顔で話した。
「いい名前ですね」
「確かに。恰好よくて」
「いい響きですね」
「本当に」
「ですから気に入っています」
「ドイツ系の方に多いですね」
 連合ではこの国をルーツの人物も多い、アメリカ等から移住して連合に入ったのだ。
「そのお名前は」
「はい、実は私も祖先はです」
「ドイツ系ですか」
「オーストリアから移住した人らしくて」
 そのはじまりはというのだ。
「アメリカへ」
「あの国に移住されて」
「それからでして」
 それでというのだ。
「今に至ります」
「ではお国は」
「アメリカです」
 この国だというのだ。
「国籍は」
「そうですか」
「はい、ですから」
 それでと言うのだった。
「日本で働いていますが」
「国籍はですね」
「アメリカです」 
 連合の中のこの国だというのだ。
「そうなります」
「そうですか」
「まあ連合にいれば」
 トラップはマリアにさらに話した。
「国籍は違っても」
「移動は自由ですし」
「就職も自由ですから」
 もっと言えば連合の中では関税もない、国籍は違っても連合という国の市民であるからそれは同じなのだ。
「国籍はですね」
「そうですね、関係ないですね」
「連合の中にいれば」
 つまり連合市民であらばというのだ。
「それで」
「左様ですね」
 二人でこうした話をしてだった、さらに話した。ここでだった。 
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