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八条学園騒動記

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第五百二十九話 お見合い当日その三

「どうもです」
「そうしたところはですか」
「確かにありまして」
「そこが問題ですか」
「ただ。意地が悪くもないので」
「そうした要素もですか」
「ありませんので」
 それでというのだ。
「そのことに気をつければいいので」
「他は何もですか」
「気にされないで下さい、ただ毎朝大雨でも走って」
 そうするというのだ。
「入浴もして」
「毎日ですね」
「そして仕事から帰りますと。私が担任の時は学校からでしたが」
「服へのアイロンがけとですか」
「靴磨きをです」 
 その両方をというのだ。
「します」
「何か時計の様な」
「そこまで正確ではないですが」
「決まったことをですね」
「とかく気が済まない」
「そうした人ということは」
「ご承知を」 
 こうマリアに言うのだった。
「癖の強い人かといいますと」
「そうなるのですね」
「はい」
 実際にというのだ。
「そのうえで」
「これからのお見合いをですね」
「お願いします」
「それでは」
 マリアは先生の言葉に頷いた、そうしてだった。
 お見合いの場に入った、するとそこにはスーツも靴も奇麗にした博物館にいた彼がいた。その彼と挨拶をして着席をするとだった。
 彼からだ、こう言ってきた。
「博物館に何度か」
「はい、来ていまして」
 マリアもその通りだと答えた。
「その時に」
「お見掛けしていますね」
「そうでしたか」
「はい、その時にも」
「お見掛けしたでしょうか」
「おそらくは」
 どういった人か見に行ったことな内緒にして答えた、これ位の隠しごとは別にいいと判断してのことだ。
「そうだったかと」
「それで、ですね」
「はい、私のことも」
「お見掛けしていて」
「今言われたのかと」
「そうですね、ですが」 
 それでもとだ、彼はマリアに笑顔で話した。
「とてもです」
「とてもといいますと」
「お奇麗ですね」
 彼はマリアに笑顔で述べた。
「靴も」
「靴もですか」
「お姿や服だけでなく」
「靴までも」
「まことに。実は私の祖父の言葉で」
 彼は食前のコーヒーを飲みつつマリアに話した。
「靴が奇麗ですと」
「それで、ですか」
「かなり違うとです」
「言われたのですか」
「祖父は軍隊が好きで」
 それでというのだ。
「軍靴はいつもよく磨かれていますね」
「その様ですね」 
 ミンチンの言った通りだと思いながらだった、マリアは答えた。彼女が話してくれた靴の話である。 
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