八条学園騒動記
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第五百二十九話 お見合い当日その一
お見合い当日
お見合いの日マリアは朝早く起きてそうしてまずはシャワーを浴びた、そして奇麗なスーツを着た。アイロンがけをして靴もだった。
磨かれたものだ、それを着てお見合いの仲人である主任先生との待ち合わせ場所にいると妙齢の女性もいた。
その人を見つつだ、主任先生はマリアに笑顔で話した。
「妻も一緒です」
「奥さんですか」
「はい」
そうだというのだ。
「妻と共にです」
「お見合いの場にですね」
「ご一緒させて頂きます」
「先生のお話は主人から聞いています」
奥さんもマリアに言ってきた、赤毛で唇の左下に黒子があるあだっぽい感じの女性である。
「とても真面目で優しい先生とです」
「そうですか」
「はい、それでこの度ですね」
「主任先生にお見合いをです」
「その場を用意してもらったのですね」
「そうです」
マリアは奥さんに笑顔で答えた。
「そうして頂きました」
「そうですね、主人はお見合いの仲人もです」
「されていますか」
「これまで多く、四十程」
「四十もですか」
「これまで仲人をしていて私も」
奥さん自身もというのだ。
「主人と一緒に」
「そうされていますか」
「はい、それでこの度は」
「私のお見合いもですね」
「仲人をさせて頂きます」
是非にという返事だった。
「この度は」
「お願いします」
「こちらこそ」
「しかし」
ここでだ、先生がマリアの身なりを見て言ってきた。
「靴もですか」
「磨いてきました」
そうしたというのだ。
「昨日のうちに」
「そうされましたか」
「どうでしょうか」
「素晴らしいです」
靴を磨いてきたことについてだ、先生は笑顔で答えた。
「服もアイロンをされていて」
「こちらはクリーニングにです」
「出されていましたか」
「そして靴は」
こちらはというのだ。
「磨いてきました」
「そうでしたか」
「靴を磨いたことは」
その経験はとだ、マリアは先生に話した。事前にミンチンと共に博物館に行ってトラップを見に行ったことは内緒にして。
「これまで殆どなかったですが」
「それでもですか」
「はい、磨いて」
そうしてというのだ。
「よかったみたいですね」
「いいどころではないです」
先生はマリアにこうまで言った。
「そこまで見事な方とは」
「思われなかったのですか」
「はい」
まさにと言うのだった。
「本当のお洒落、奇麗好きな人は」
「靴をですか」
「磨くものです」
そうするというのだ。
「しかもご自身で、ですね」
「磨きました」
「完璧です」
賞賛の言葉がまた出された。
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